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33.ギルドの依頼システム

記憶が捏造されていました。

パペット三人組のレベルを書いたつもりで書いてませんでした…

この時点では23くらいの設定です。

今日、新たな冒険者パーティが一つ出来た。

ギルドに自身の情報を登録し、その登録した者で固まっている状態のことだ。

状況によってはギルド混合になる場合もあるが、今回はそうではない。


「はい、皆さん登録完了です。良かったら依頼も見て行ってね」


何処の街でも同じ処理が行われているが、ここはギルド【黒爪】である。

パペット三人組が冒険者として登録したのだ。

暫く周りを見ていると、同じくパーティと思われる団体が何度かすれ違う。


「近くて高くて楽な依頼をくれ」

「…どうぞ」

「死が近くて、コストが高くて、死後処理が楽な仕事じゃねえか!」

「あとはこれ」

「俺と年が近くて、高圧的かつ楽観的な依頼人を守る依頼…」


好みの依頼を素早く探す為に受付を通す者も居る。

しかし他のギルドと違って、"オイシイ"依頼しか受けない者は、からかって遊ぶスタイルだ。

なお、この受付もギルド内の依頼であり…Lv100以上の者でないとその場に立つ事さえできない。

一般ギルドではよくある、弱者に絡む者を排除するためだ。

このパーティは引き下がり、飲食スペースの方へ消える。


「新人さんたち、迷ってるなら…この依頼やりませんか?」


マルチタスク・クエストと書かれた依頼書を見せられる。

この依頼は、一つの依頼の中に複数の対象が設定されている。

複数ある依頼それぞれに目標があり、どれかを満たせば完了だ。

全てやり切ってもその分の報酬が貰える。


依頼書にはこう書かれている…

・【つるつる粘土】三袋分納品

 →8エルマ

・【糸茸】二本納品

 →23ドラタ

・【転倒爆弾虫の殻】一つ納品

 →41リーネ

・【ボルテック・フォクシー】一体討伐

 →30000ストリア


他に、現物のスケッチや特徴について書かれた紙がある。

生物素材や討伐の場合は、対象の鑑定結果が追加される。


########

種族:転倒爆弾虫 Lv25

技能:

 <自爆> 物理単体攻撃 Lv40 使用後死亡する

 <攻撃力増加> 物理属性の攻撃力が上昇する

########

種族:ボルテック・フォクシー Lv120

技能:

 <破壊衝動> 攻撃力三倍、防御力消失 敵を執拗に狙う

 <精霊化> 物理攻撃無効、体力と全属性耐性大幅低下

 <天剣> 雷属性単体魔法 Lv120

 <風牙> 風属性単体魔法 Lv100

########


「報酬の通貨?がよく分からないんだが」


実はこのマルチタスク・クエストはメリットだけではないのだ。

たまたま目的地が同じだけの、とにかく数が欲しいものや、誰でも良いから何とかして欲しい依頼が詰まっている。

当然、依頼主の住んでいる場所が違えば通貨も変わってくる。

共通通貨もあるのだが、交換手数料を嫌う者が多いため、あえて現地の通貨支払いとなっているのだ。


「共通通貨で言えば…上二つは豪華な食事五回分くらいでしょうか」

「通貨はこの表のレートで交換できますよ」


とんでもない数の通貨単位と交換レートが並んでいる。

数が多いうえに、憶えた所でレートは日替わりである。

リコラディアだけは楽しそうに眺めているが、男性陣は顔をしかめる。

そうこうしている内に、見知った顔が現れる。


「ついに依頼ですね!混ぜてください!」


そう言ってティスラがメンバーに加わる。

パペット三人組には初めての場所でもあるので、心強い味方だ。


「最初は無理せず、余裕があるうちに戻る事をお勧めしますよ」


忠告を聞き、一行は出発する。





やって来たのは、【夢幻の湿地】だ。


凄まじい湿気だが、これにより茸類がよく育つ。

主に薬の材料として価値が高いが、不人気スポットなので数が集まらない。


「視界も足場も悪いな」

「虫とかたくさん居そう…」

「来てすぐの所に良い薬草が。誰も立ち入っていない…?」


パペット三人組が色々な感想を述べると…


「これです!依頼完了!」


なんと、数歩踏み込んだだけで依頼が終わってしまった。

ティスラが見つけたのは、糸茸という糸くずのように細いキノコの一種だ。

薬効成分が多いのだが、数本程度では細すぎて量が集まらない。

マルチタスク・クエストになった理由である。


「粘土はどうやって探そう?」

「そこの地面全部が粘土です!依頼完了!」


また依頼が終わった。

実に達成感の無い終わりに、何だか肩すかしを食らう。


「転倒爆弾虫ってやつの依頼はどうだ?いけそうなら戦ってみたいが」


クエラセルが戦闘の提案をしてみる。

データは既にあるので、事前に作戦を立てれば行けると踏んだのだ。

Lvもパペット三人組と同じくらい、かつティスラより低い相手である。


「群れを避ければ行けるはずです!」


自信満々の回答に釣られ、敵を求めて歩く。

流石にすぐには遭遇しないので、奥の方へ進んでみる。





「今日は全然居ないようです…」


結構歩いたが遭遇しない。

いつもなら、歩いてきた道中に嫌という程いるらしいのだが…

それどころか警戒しているのに何も出て来ない。


「あれは…?」


グリンが指を差す先には、光る石のようなものがある。

宝石の可能性を感じ、一行は警戒して近寄るが何も起きない。


ティスラが拾い上げると、なぜか手の中で雷が発生し、属性装備となる。

即席装備スキルで、雷の魔力を武器にしているのだ。


「ただの魔法石でした…」


魔法石から属性を抜き取るとただの石になってしまう。

中に戻す技術は無いので、属性装備を解除して地面に捨てる。


「シュ クル クル」


"捨てられたもの"は、妙な音を出し…


「クルル クルルゥ!」

「皆さん下がってください!」

「「「えっ!?」」」


落雷が発生するが地面に落ちる事はなく、ティスラの手に吸い込まれるように消える。

雷を手に掴んでいるので、どうやらティスラが狙われていたようだ。


「セーフ、ですね!」


グリンは一応鑑定するが…

ボルテック・フォクシーと書かれているので青ざめている。

出発前に確認した姿は獣のような状態だが、目の前に居るのは電気の塊だ。

姿は違うがLv120なので間違いではないようだ。


なお、即席装備スキルで属性を受け止める場合、耐えきれなくなるラインがある。

今回は何とか耐えれたようだ。


「耐えれる内に逃げるしかないと思うが…逃げ切れそうか…?」

「冗談抜きでピンチよね、これ…」


クエラセルは真っ先に撤退を提案する。

しかしティスラが制止し、別の指示をする。


「グリンさん、リコラディアさんにマナをありったけ回してください!」

「リコラディアさんは、高レベル魔法を!」


パニック状態で逃げると、そこを突かれ全滅すると予想したティスラは賭けに出る。

体力を減らして敵を退かせる策に出たのだ。

相手が標的を変えないことを祈り、前に出て構える。


「クル クル!」


ボルテック・フォクシーは何度も落雷をティスラに浴びせる。

ティスラは、落雷を属性装備に変換し、すぐに属性を捨てる事を繰り返す。

耐えきれている内は、これでお互いダメージが無いのだ。


「俺は…そうだ、この水をリコラディアに飲ませる!」


念のため常備している、マナ入りの水だ。

リコラディアのリ・マナヒールのスキル効果で、マナ回復量が増える。

カップに次々と注ぎ、渡す。

飲んでいる間は魔法石でダメージを稼ぐ。


「フレイム・スロワー!」

「キュクッ!」


高威力の新しい魔法だが、普段の敵と段違いの相手のため、当てても全く倒れない。

しかし効いてはいるようで、痛そうな反応をする。


「…一回でマナがギリギリのようです」

「でも効いてる!」


しかし…


「シー!キィ!キィ!」


ボルテック・フォクシーは、鑑定結果の姿…

全身の毛が逆立った金色の獣のような見た目になる。

中途半端なダメージを与えた事で本気にさせてしまったのだ。


「こ、これは…受けきれるかどうか…」


ティスラが青ざめていく。

今まで本気と思っていたのは、ただ来客を追い払っていただけだったのだ。

そのまま消し炭にされる未来しか見えなくなった四人…


「キュ!キュ!」


しかし、ボルテック・フォクシーは急にキョロキョロしたと思うと、

先ほどの石の中に吸い込まれて行き…

また光を放つ石となる。


「い、今です!」


ティスラが最初にやったように、"ボルテック・フォクシーを装備"する。


「急いで誰かに何とかしてもらいます!」

「「「ナイス!」」」


生きる可能性を繋いだ四人は、危険な武器を運んでギルドに戻る。





「キュー クルクル」

「「「「ええ…」」」」


何と、ギルドに持ち帰ったボルテック・フォクシーは、受付の女性に懐いた。

クルタがスライムにやっていたように、心を通わせる事が出来るスキルがある。

【黒爪】は問題児ばかりだが…

特化戦力と平均レベルがあり得ないほど高いのだ。


「この子貰って良いですか?」

「「「「どうぞ…」」」」


実はLvの高い者同士で本気の喧嘩をするので、凄まじい勢いでレベルアップする仕組みなのだ。

ゲームでも似た感じでボルテック・フォクシー(ボス)と戦えます。

最速で進めると今回のような状態になりますが、普通にやればボロボロになって勝てるくらいの強さにはなってます。

実は捕まえて売る事が出来ます。

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