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29.青腕の実力

本日の舞台は、【迷いの森】にある小鬼族の拠点だ。

魔女と、パペット三人組が拠点入り口まで来ている。


既に小鬼族が住めるテントや、調理場等が出来上がっている。

最低限の施設は作り終わっているようだ。


今回ここを訪れたのは、小鬼族リーダーのギギに呼ばれたからである。

パペット三人組の新たな冒険の場として、【妖精の森】に進出するつもりだったのだが…

ポイズン・ドッグ等と比較にならない強敵が居るので、

挑むに見合った能力があるかをギギがテストするのだ。


暫く待っていると、ギギに加えて小鬼族が二人出て来る。

ギギは一行に手招きして、小鬼族用の訓練スペースへ移動する。


「仲間外れはダメですよー」


一応クルタも翻訳係として着いて来てくれるようだ。

ジェイドは姿が見えない。





「ウー! ウー!」

「何だかお祭りのような状態ね」


魔女は珍しいものを見れたようで、楽しみながらコメントする。

訓練スペースはとてつもなく広いので、今回の戦闘スペース以外は観客が自由に使って良いとのことだ。

任意参加のはずだが、小鬼族全てが集い、早くもテンションが上がり切っている。

カラフルな棒のような物を両手に持ち、踊っている者も居る。


実はギギが本気で戦う所は滅多に見れないので、

小鬼族の者達がここまで興奮しているのだ。


ギギ達とパペット三人組は、訓練スペースに引いてある赤い線の近くに立つ。

お互いにギリギリ遠距離攻撃が届かない辺りの位置だ。

開始の合図と同時に好きに動いて良い。


「ゲード!」

「戦闘開始!」


小鬼族とクルタが同時に開始を宣言する。

ギギはすぐに、傍に居た二名の小鬼族に指示を出す。


「ダー ガ ダナ!」

「「ウー!」」


二名が左右に分かれ、距離を詰め…

ギギは何かを地面に置いた後、正面から速度を落として近付く。


一方パペット三人組は…クエラセルを前に、あとの二人を後ろにやる。

要するに、"いつもの"作戦だ。

グリンは、ギギに鑑定アイテムを使う。


########

種族:小鬼 Lv15

技能:

 <マエストロ> 質の良いアイテムを作成でき、使用時の性能が上昇

 <瞬間接着> アイテムを離れた場所に一瞬で接着出来る

 <石橋撤去> 短時間、反撃しない相手に攻撃力大幅上昇

 <挑発> 敵一体を引き付ける

 <属性耐性増加> 全属性耐性が増加

########


「あれ?意外とLvが低い…?」

「だったら、私の魔法で一撃ね!」


グリンが鑑定結果に警戒していると…

リコラディアが自信をつけ、ギギに向かって魔法を発動する。


「フレイム・ウィップ!」


魔法はあっさりヒットするが…


「アヒヒヒ! ノ チャー モダ!」

「何あれ、バカにしてるの!?」


リコラディアに指を差して笑う。

言葉は分からないが、あまり効いていないように見える。

イラッとしたリコラディアはギギに魔法を連発する…


「お、おい…これはまずいんじゃないか」


異変を察知したのはクエラセルだ。

いつものように敵の数を減らしていけば勝ち目がありそうだが…

まだ誰も倒していない状態で、二手に分かれた小鬼族が走ってくる。


仕方がないのでクエラセルも後ろに下がり、二人を守りやすい状態にする。


「ダー カーヤ!」


するとギギが謎の指令を出す。

走ってきた小鬼族が足を止め、背負っていたバッグから、道具を取り出す。

腕に装着する小型弓のような装置だ。


「「ゲード!」」


左右に分かれた小鬼族は、その装置で矢のようなものを発射する。

明らかに後ろの二人を狙っている。


「ボクは回避するので、リコラディアを頼みます」

「分かった。気を付けろよ」


守り切れないと判断したグリンはクエラセルから少し離れ、負担を軽減しようとする。

しかしそれが裏目に出る。


「カーヤ ビナ!」

「う、うわっ!」


ギギが謎の言葉を発すると、グリンが消える。


「いたた…落とし穴…?」


かなり深い落とし穴に落とされたようだ。

下が水を含んだ泥なのでダメージは少ないが、泥が足を覆い、抜け出せない。


「ダー アママ!」

「「ウー!」」


続いて指令を出すと、攻撃していた小鬼族が引き上げて行き、ギギも下がる。


「…策に乗せられたらしい。リコラディア、落ち着け!」

「あ、あいつ…何で倒れないのよ…」


早くも疲労の色を見せるリコラディア。

迷いの森では、魔法に使うマナは無限のようなものだが…

魔法を使う時にイメージを作らないと発動できない為、"頭の疲れ"が来ている。


「俺がギギを押さえる。リコラディアは休憩しつつ横の二人をやってくれ」

「うん…」

「行くぞ!」


単純な戦闘力はパペット三人組の方が高いため、狙う相手を変えて数を減らす作戦だ。

しかし…


「ゲード ノ チャー!」

「うおっ!?」


ギギが何かをしたらしく、クエラセルの足元が光り、地面が爆発する。

実は下がる時、地面に火の魔法石を埋めてあったのだ。

瞬間接着スキルにより、手を使わず地面の中に直接接着している。


「片足をやられたか…盾にはなれる。後は魔法で頼む」

「や、やってはみるけど…」


クエラセルはまともに戦闘出来ない状態だが…

それでもリコラディアを守ろうと、片足で盾になる。

あまりに分が悪いので、魔法に賭けることにしたのだ。


「ガ ゲード!」

「「ギギ ウー!」」


するとギギが小さな剣を両手に持ち、単身で走ってくる。

リコラディアは、ギギに魔法が効かなかった事を憶えているので、後ろの小鬼族を狙う。


「ファイア・レイン!」

「「グガ!」」


あっさり小鬼族が倒れる。

しかし…


ガンガンガン! キィン! ザクッ!


「ぐっ…」

「う、嘘でしょ…」


怒涛のラッシュでクエラセルが倒されてしまう。

反撃できない状態なので、石橋撤去スキルで突破されてしまったのだ。


「わたしの負けよ…」


どうにもならないリコラディアは膝をつき、負けを認める。


「「「「ギギ ウー!」」」」


小鬼族の観客は大盛況だ。





魔女はグリンを落とし穴から引っ張り上げ、全員を回復してやる。


「あらら、見事に三人とも暗い顔ね…」

「「「はあ…」」」


自分達よりLvの低い相手だっただけに、三人は悔しさを感じていた。


「戦術には必ず"仕掛け"があって、見破れないと負けちゃうの」

「戦いに使えるものは、目に見えるデータだけじゃ無いって事ね」


負けているのに、魔女は何だか嬉しそうだ。

今回の戦いについて反省点となるヒントを与えて行く。


「例えば最初にギギが置いたのは、属性ダメージ軽減のアイテムよ」

「わざわざ手で置かなくても設置出来るのに、わざと手で設置していたの」


一同は、はっとして戦いを振り返る。





その後クルタ経由でテストの結果を聞いたのだが…

「お前達にはまだ早い」という結論であった。

ゲームでは、小鬼編のギギ操作時のみ、マップに罠を仕掛けられます。

これで敵の戦力を減らしてから、小鬼族で突撃し勝利するストーリーです。

後半からですが、クルタのスライムも設置できます。


作っておきながら、こんなゲームどこかで見たぞという思いが沸き上がっていたという。

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