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16.魔女たちの球技とグローバルなゴブリン

また各イベントの時間合わせのために、もう一つの勢力を合流させていきます。

そろそろ時間軸がややこしくなってきました。

他の方は時間差の話をどうやって管理してるんでしょうか…

徐々に日が昇り朝を迎えた【迷いの森】だが、今日の始まりはいつもより早いようである。

まだ薄暗いが、魔女の住居付近では何者かの気配がする。

昨夜外で寝てしまった、魔女とリコラディアが戻ってきたのだ。


「大丈夫そう?」

「うん…立ち直るまでもう少し掛かるけど…」

「今日は休んで良いから、ゆっくり回復しなさい」

「ありがとう、お姉さま…」


リコラディアは、思い出したくない記憶を手に入れてしまった事でダメージが残っている。

もう少しだけ、といって魔女の腕にしがみ付いたあと、暫くして住居に向かう。


住居の前に来ると、普段は緑である木の葉っぱが赤くなっている。

ブレイズ・エイサーという木で、マナを流すと量に応じて葉が赤熱する。

本来は危険極まりないのだが、ここでは来客が帰ってしまった知らせとして機能している。

"知っている者"は、家主が不在の時、これにマナを流して通知するのだ。


「あら?誰か来てたみたいね」


リコラディアの姿が見えなくなると、木の影が魔女の方に延び、ちぎれる。

影が円形になると、中から何者かが現れる。


「お早うございます。出るタイミングがありませんでした」

「おはよう、闇の。そういう気遣いが出来る者は少ないわ」


現れたのはギルド【闇爪】マスターのフェイリアだ。

頼まれ物が出来たので持ってきたのだ。

少し話した後、物品を受け渡す。


「影、あれを」


そういうと、フェイリアの影が後ろに広がり、中からキラキラ輝く透明な箱のようなものがせり上がってくる。

中には鑑定アイテムが隙間なく綺麗に収まっている。

一つだけ小さな箱があり、その中には折り畳まれた小さな布袋のようなものが見える。


「うん、品も個数も問題なし」

「相変わらず、芸術品みたいな仕事ぶりね…開けるのが勿体無いくらい」

「有難うございます。無駄嫌いの性格で良かったと思える瞬間ですね」


個数、向き、重さ等を計算しつくしたプロの技で、隙間なく収納されている。

存分に眺めて満足してから受け取る。


「ところで、今日は"アレ"やっていく?」

「お願いします。最近悩みが多いもので…それを忘れられるこの瞬間が、一番の娯楽です」


「「マルチ・スペル」」


両名、開始の合図かのように、魔法を使う。

マルチ・スペルは、低レベルの同じ魔法を同時に発動出来るようになるものである。

発動数は個人の能力や熟練度等によるのだが…この二人ではとんでもない事になる。

その状態で正面から撃ち合おうというのだ。


「デル・ト・イー・ジャ」

「ロック・バラージ」


どちらも石を多数飛ばすシンプルな魔法なのだが…

マルチ・スペルにより、発動数分追加される。

同条件で、短縮魔法という特殊な技術と、純粋な術性能で押す二種がぶつかる。


「な、なに!?」


部屋に居たリコラディアが出て来る程には、凄まじい音だったようだ。

辺り一面に砕けた石がばら撒かれている。


「観客が来ているようですが」

「今日はここまでにしましょうか。また次の依頼があるから、その後にでも」

「ええ、どちらも楽しみにしていますよ」


フェイリアは満足したのか、一礼した後、にこやかな顔で影に吸い込まれていく。


リコラディアは頭の整理が追い付いていないのか、固まっている。

良くも悪くも、落ち込んだ気分は吹き飛んだようである。


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一方、こちらはゼクト領。


イスカ北部、オトルス東部と隣接している地域だ。

隣接している地域が多く、割と安全なので、交易ルートの関税でかなりの儲けを出しているという。

木材加工技術がウリで、豪邸の建築材を丸ごと賄える程の対応力も持つ。

密かな問題として、材木の過度な伐採を行う者に頭を悩ませている。


さて、領内には【妖精の森】という森がある。

名前で期待する者は多いが、"きれいな妖精"や"かわいい妖精"等はごく一部だ。

不定形の妖精すら居る。


今回はその妖精の中でも、小鬼族という種族の村がスポットとなる。

冒険者ギルドでは新入り用の討伐依頼にもされてしまっている種族で、ゴブリンとも呼ばれる。

小鬼族の者も冒険者を憎んでいる者が多いので、どちらも引かない状況だ。

そんな状況の中、やはり特例の存在が居た。


「ダー ガ ジガ?」

「何だ?何を言っている」


小鬼族の一人が、果物を手にして、魔人族の男性に話しかけている。

男性は囚われているが、特に手痛い目には合っていないようだ。

しかし、言語が違うため通じていない。


「ガ ジガ?」

小鬼族は諦めない。

果物に指を差して、問いかける。


「シトラウン…の実がどうした?」

「ジガ シトラウン?」


また果物に指を差して、問いかける。

男性は頷く。


「ウー ミネ!」

小鬼族は果実を食べやすいように剥き、そっと男性の口に入れる。

どうやらプレゼントされたようだ。


小鬼族は、少し離れた人間族の女性の所に行く。

なぜか女性は巨大な液体の塊に包まれていて、顔だけ出している状態だ。

立ち泳ぎしているような格好で静止している。


「ダー ガ ジガ シトラウン?」

「あ、シトラウンの実ですね」

女性は納得する動きをして伝える。

先程の男性よりは謎の言葉に慣れているよう。


「ウー ミネ!」

男性にやったように、果実を剥き、口の中に入れる。

その後、地面にメモのような物を書く。

この小鬼族は言葉を憶えようとしているようだ。


そんなちょっと変わった日常の中、急に雰囲気が変わる。


「ダーダー! アージー! ゲード!」

「アージー! モダ!」


遠くから声が聞こえると、何人かの小鬼族は装備を持ち走っていく。

中には木のツタのようなものを大量に運んでいく妙な者も居る。


果物を持った小鬼族は向かわず、別の果物に持ち替えて同じ確認をしていく。

小鬼編では、最初は三人の小鬼族から始まるのですが…

馬車を穴に落として襲ったり、フレッシュな冒険者を後ろから襲ったり…割とゲスなことをやります。


各イベントの合流が間に合わないのと、変なタイミングで時間を使ってしまうので序盤丸ごとカットしました。

この辺りは回想的なやつでダイジェストでも入れようかなと思ってます。

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