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12.全てを否定する穀潰しの賢者と魔女同盟

タイミングがおかしくなってくるので、もう一つの勢力を入れ始めました。

問題児達は、何気に人気がありました。

【迷いの森】では、魔女"にしか見えない"女性、グレイスと、パペット三人組が広場に移動していた。


先程まで話し合っていたのだが、グレイスが言う事の意味が分からず、会話にならない。

なので、魔女が戻ってから改めて説明して貰う事になったのだ。

良い機会なので、今のうちにグレイスの能力を見せてくれるとの事。

能力がない、と言っていた事が引っかかるが、情報が欲しいため付いていくパペットの三人。


「さて、皆さんは常識的に考え過ぎているようなので、これから非常識を見せます」

「少なくとも今後は、非常識も予測出来なければ生き残れません…」

「まずは実際に経験し、耐性を付けて行きましょう!」


グレイスが張り切り、戦いをよく見るように言う。


「一人目は…グリンさん、私のマナを吸収してください」

「はい、本気で行きますよ」


グリンが指揮棒のような短いステッキを振った後クルクル回す。


「え?マナが吸収できない…というより、ない?無機物ですら持っているはず…」


しかし早速非常識の洗礼を受けたようだ。

自分の取り柄を完全に無効化されているのでショックがでかく、膝をつく。


「はい、では私の能力を発表します」

「【ない】という能力です」


三人は意味が分からなかった。


「低水準のステータス、保持量が少ないものが全て"何もない"状態になるので…」

「吸収や鑑定などは成功しますが、ほぼ効果がありません」


グレイスは当たり前のように言うが、とても非常識だ。


「では次…リコラディアさん、私に攻撃魔法を撃ってみてください」

「ど、どうなっても知らないからね?」


リコラディアは密かに魔導回路の改造が進んでいて、火力が出るようになってきているのだ。


「フレイム・ウィップ!」

「魔法はない!」


リコラディアのフレイム・ウィップは単体火魔法Lv35、なかなかの威力だ。

しかし、非常識のせいで折角の魔法が無くなった。


「…」

リコラディアは新魔法のお披露目を邪魔されたせいか、なんだか機嫌が悪い。

もう一度やろうとしても発動すらしない。


「この通り、相手の攻撃に【ない】を合わせることも出来ます」

「次が終わったら、詳しく解説します」


呼ばれる前に、クエラセルが構えるが…


「剣と鎧はない!」


クエラセルがインナーだけになる。

剣と鎧が消えてしまったのだ。


「自分で言うのは何ですが、理不尽でしょう?ですが、いずれ勝たなければいけないのです」

「ないものは、ない!」


そう言うと、クエラセルの装備が足元に落ちている。


「では私の能力、【ない】の答えですが…」

「自分でまともに使えないものの対象を、概念レベルで完全否定できます」

「私は最弱で何も出来ないので、逆に何でも出来るのです」

「そして、否定したものは、それを更に否定することで元に戻ります」


「「「ええ…」」」

三人はとても納得いかないようだ。


「ちなみにフィーリちゃんには突破されたのですが…」

「【ない】がある! と言われて私の能力が途中で消滅しました」

「私が"ある"と納得してしまうと、【ない】の効果は暫く消滅するようです」


理不尽で納得できない経験が出来た三人であった。

住居に戻った後、グレイスが自分自身の事すら出来ない者だと分かってしまったのは別のお話。


------------------------------


冒険者ギルドは各地に存在するが、非合法な運営を行っている闇ギルドも存在している。

それらのせいで勘違いされているギルドがあった…


「今月もなかなか厳しいようですね…」

「森のに頼まれた物を作りたいのですが、まず先に凌いでおきましょう」

「あれを売れば、当面は大丈夫のはずです」


席を立つのは、ギルド【黒爪】のマスター、フェイリアだ。

世間では闇の魔女と呼ばれているようだ。

このギルドはかなり昔からあるのだが、後から出来た闇ギルドが殆ど"黒"を名前に入れるので、

いつしか同業者と間違われるようになり正規の依頼が激減した。


実はこのギルド、名前は紛らわしいが異端児や問題児を引き受け教育している所なのだ。

森の魔女が大口依頼を持ってくるので、今はギリギリ何とかなっている。

しかし問題児達は自重を知らない。

いや、知らないので問題児なのだ。


「室内だってトレーニングくらい出来る。これを見てみな!」

「ちょっと、室内で大剣はマズいですって!」

「うるせぇ!気を付ければ良いだけなんだよ!見てろよ…おら!」

「ほい、硬貨シュート!」

「なにぃ!?ぐわぁ!」


ガシャーン!バキバキィ!


大柄の男性が硬貨を踏み、転んだ。

大剣は空を飛び、高そうな備品へ向かって一直線。その結果は見えている。


「や、やべぇ…」


男性にダメージは無いようだが、ギルド資産と施設には多大なダメージだ。

売却すれば、独り身なら数年遊べる程の価値がある宝石が無残な姿になっている。

慣れているのか、男性以外の者は既に逃げ出している。


「なるほど、口で言っても分からない者がまだ居ますか」

「マ、マスター…」


男性が、細身の女性に対して萎縮している。

体格差が凄まじいはずだが、男性の方が小さく見える。


「説教している暇はなくなりました」

「あなたはその破壊した宝石分稼いできなさい。期間は…三か月以内です」

「もし出来なかったら…"死ぬまで苦痛を与え続ける魔法"の実験台になってもらいます」


掌の上に、緑と青の火が混ざっているようなものが浮かんでいる。

逆らった時点でまともに生きている選択肢はないのが分かる。


「ヒィ!分かりました!今すぐ行ってきます!」


男性は慌ただしく大剣を担いで走っていく。


「はあ…私も大物狩りに出かけましょうか…」

フェイリアは、"帰るまでに片付いていなかったら…分かりますね"という紙を置いて外出する。

ゲームでは、闇爪ギルドのメンバーを直接操作できます。

人や依頼がどんどん増えて行って、一番やりがいがあるとか。

あとアホなやつばっかりなのでダークな雰囲気の息抜きになるらしいです。

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