これは必要なことなんだよ
「将来は、ボクと結婚してくれるんだよね?」
みぃはそう言いながら、真剣な表情で僕を見る。
僕はあえて視線を下に向けつつ、「そうだよ。」と返す。
「だったら!」
「でもさ、みぃ、これは必要なことなんだよ。」
「でも!それでもボクは!」
「みぃ、いい加減に現実見なよ。」
「嫌だ!」
みぃはそう叫ぶと、両耳を手で塞いでいやいやと首を左右に振る。
そんな動作もかわいい。
でも、今回ばかりは非情にならなければいけないんだ。
「みぃ、わかってるでしょ?
来週から試験があるって。」
「わからない!知りたくない!!」
そう言われてもなぁ、みぃが学生である以上避けられないことだし……
「あのね、みぃ。成績悪かったら補修だよ?
そうなったら、二人の時間が無くなっちゃうんだよ?」
「でも……」
「でもじゃないでしょ?」
「……ご褒美。」
みぃは頬を膨らませて不満アピールをしながらそんなことを言う。
ああ、テストで点を取れたらご褒美が欲しいのか。
「じゃあ、テストで全教科平均以上行ったら何でも言うこと聞いてあげる。」
「なんでもっ!?」
「あ、僕にできる範囲でね?」
「うん!わかったっ!ボク、頑張る!」
何故か急にやる気を出したみぃは、ペンを持つと数学の問題集をカリカリと解き始めた。
そんなみぃを見ながら、僕は化学の教科書をパラパラと流し読みする。
正直、僕の学校の問題くらいなら勉強しなくても九割とれるんだよなぁ……
まあ、僕だけ遊ぶわけにはいかないし、たぶんそろそろみぃからのヘルプが来るはず。
「……ここ、わかんない。」
「何?どこ?」
「ここの問題。」
「ああ、それね。そこは……」
僕はみぃに顔を近づけながら、みぃに解説する。
「……って感じだと思うけど、わかった?」
「うん。さすが神様。」
「まぁ、これぐらいはね。」
「十分、すごいよ。いつもありがとう。」
みぃはそう言うと、僕の頬に軽くキスをしてから再び数学の問題集と睨めっこを始めた。
僕はついさっき柔らかい感触があった頬を右手で撫でた後、再び化学の教科書をパラパラと見る。
ちなみに、みぃは無事全教科平均点を超え、僕は学年一位だった。




