表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺人音  作者: 鳳仙花
8/8

井上綾香

3ヶ月。

病院の放火事件から3ヶ月が経った。

俺は何故か全焼した病院の所で倒れていたらしく、現場に来た救急員により救助された。

全焼した病院に勤めていた父親は、下半身マヒという後遺症が残ったもの、今もしっかりとリハビリに励みながら生きている。

俺がなんで全焼した病院にいたのかは、どういうわけか全く記憶にない。

色々と話を聞いた限りだと、俺は燃え上がる病院へと走って行ったらしい。

病院に着くと、俺は何やら一人で会話を始めて、急に倒れた。

そう聞いた。


なんで俺があそこで倒れたのか、誰にも分からない。

何かあったとしか思えないが、その時の記憶も情報も無いから、真実の求めようがない。

でも、なんでだろう。

なんか心にポッカリと穴が空いた気がする。

楽しいことがあっても、どこか満たされない。


「はぁー………」


俺は溜め息を吐き、自分の席から窓を通して空を見た。

いい天気だ。

俺は頭の傷を撫でながら、そう思った。

頭には数針のキズがある。

なにか硬い物で殴られてできたキズらしい。

最初は頭に包帯を巻いたまま学校に行ったりと違和感があったが、今は包帯も取れて特に気にはしてない。

ちなみに、このキズがなんでできたのかも知らない。

このキズが記憶喪失と何か繋がりがあるとも言われたが、今ではどうでもいい。

医者には、すぐ思い出すでしょう、と言われたのに、欠落した記憶が戻る気配もない。

確かに記憶が定かじゃなかったり、足りなかったりすると、とても不安になるが、もう大丈夫だ。

今は今で充分に楽しいし、欠落した記憶を知りたいとも思わない。

あ、でも、一つだけ知りたいことがある。

心に空いた穴だ。

その正体が何なのか知りたい。


「ふぁあ~」


俺はあくびをしながら、グッと背伸びをした。

その時、視線を感じた。


廊下の方からか?


視線が気になった俺は、背伸びをやめて、廊下の方を見た。

すると教室の入り口に女子が立っていた。

見たことのない女子だ。

女子は背がちょっと低め、綺麗な肌をしている。

そして髪は背中まである黒のストレート。


「………?」


その女子は明らかに俺を見ていた。

でも、俺を見るその目は不思議だ。

なんていうか、どこも見てないって感じだ。

……ああ、分かった。

アレは虚ろな目だ。

その女子は俺に静かに近付いてきて、突然に自己紹介をしてきた。


「初めまして!私、井上綾香!」


その女子は、とびっきりの笑顔をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ