狼男の登場
「もうここまっでいいわ、暗い中送ってくれてありがとう。とても楽しかったからまた来てもいいかしら?」
私がそういうと、
「レイナなら大歓迎だよ。いつでも来てね。」
動物たちはそう言ってくれた。動物たちの言葉に私の心は幸せでいっぱいになった。
それから動物たちに送ってもらったあと私は暗い夜道のなかを少しずつ歩き始めた。とわ言ったものの、私の家はすぐ近くにあった。今日は楽しかったなーと思いながら戸口の方まで行くと、なぜか戸が開いていた。
閉め忘れたのかなと思い何気なく家の中に入ると、何やら小さな影のようなもんが見えた。恐る恐る近づいてみると。そこには小さな尻尾と耳が生えたとても愛くるしい動物がいた。
「そこで何をしているの可愛い子犬さん?」
するとその犬はびっくりした様子でこっちを振り向いた。
「お願いです、命だけは助けてください。」
そう言って子犬は土下座をして謝った。
「あなたの命なんて取らないわ。とにかく落ち着いて、まずなんで君がここにいるのか話を聞いてももいいかしら?」
「わかりました。僕は1か月前までこの目の前に立っている宮殿に住んでいました。住んでいたといっても、そこの雑用ががりで働かされていただけでしたが、僕なりには何不自由なくらせていました。」
「ではなぜあなたはここにいるのかしら?」
「ここからが本題です。僕はいつものように仕事をしていたのですが、毎日支給されているご飯が日に日に減っていき、仕事に支障をきたしてしまっていたのです。そして失敗ばかりする僕をおいてくれなくなり、とうとう宮殿から出されてしまったのです。それからというもの僕は食べ物を探すためにこのあたりの家を物色して食べ物をあさっていました。」
「それで今日は私の家にきて運悪く私に見つかってしまったということね。」
私がそういうと子犬は耳をしゅんとして家から出ていこうとしました。
「あなたどこ行くの、行く当てはないんでしょう?それにこんな夜中だし、今日はうちに泊まりなさい。」
「そんなことできません。食べ物をとろうとしたのにお家に泊めてもらうなんて。」
「それじゃあ言い方を変えるわ、あなたは私の家に勝手に入った罰としてこの家に泊まりなさい。」
私がそういうとその子犬は尻尾を思いっきり振ってうれしそうな顔でこっちを見つめていた。
「それじゃあまず初めに自己紹介をしましょう。私の名前はレイナもともとは別の世界にいたんだけどいきなりこっちの世界に連れてこられて、今はここで暮らしているの、ちなみに年齢は18歳身長は165くらいかな。次は君の番よ。」
「僕の名前はウル狼人間なんだ、両親はもう死んじゃった。歳は5歳。」
「あなた狼なのウル?私はてっきり犬かと思っていたのに、ってそれよりあなたまだ5歳なの身長は私より低いくらいだけど、12歳くらいだと思っていたわ。」
狼と言っても耳と尻尾が生えている以外は普通の人間だった。
「間違えても無理はありませんよ。今は小さくてもすぐに大きくなれます。狼は成長するのが速いんです。あなたの身長なんてすぐ追い越せますよ。」
ウルはそう自慢げに話してくれた。
「あなたお腹がすいているのでしょう?今から食べましょう。」
幸い食べ物は毎日宮殿の使いの者たちが持ってきてくれているので困ってはいない。むしろ私一人で食べるには多すぎるくらいだ。私がそういうとウルはさらに嬉しそうな顔になった。よっぽどお腹がすいていたのだろう。
「少し待ってて、今から準備するから。」
私はそう言って、持っていたスケッチブックと鉛筆を机の上にのせて食事の準備に取り掛かった。準備と言ってもスープを煮込んでパンを食べやすい大きさにカットするくらいだ。それでもなぜか母親になった気分がした。
食事をしながらたわいのない話をした後、ウルはベッドに入って、丸くなって眠ってしまった。