表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題 短編

かわる。

作者: 翔麒

お題「2段ベット」「双子」


俺には、双子の弟がいた。

生まれた時から俺の隣には、あいつがいて。

あいつがいない俺は、俺ではないとさえ、思っていた。

俺達が中学生になった時だった。

このままじゃダメだ。そう思った。

きっかけは、父さん達が買ってきた2段ベットだった。

これまでずっと俺達は、同じ服、同じ机、同じ布団で過ごしてきた。それらには違いはなかった。でも、父さんの買ってきたそれは違った。


上と下。


それはとても小さな違いだったけど、俺達を変えることが出来るくらいには、大きな違いだった。

いつまでも一緒にいられるわけではない。いざとなった時、これでは困る。

俺達は、性格を変えることにしたんだ。

元々、勉強があいつより少しだけ得意だった俺は、大人しく、物静かに。

俺より少しだけ運動が得意だったあいつは、明るく、活発に。

父さんや母さんは、驚いたみたいだった。5つ年上の姉貴には、俺達の決意を伝えた。笑われなかった。頑張ってって言ってくれた。

例え性格を変えても、あいつは俺にとって特別で、かけがえのない存在だったんだ。


なのに。


いなくなった。


高校生になって半年くらいだった。

正直、その日のことはほとんど覚えていない。次に目が覚めたのは、あの2段ベットの上の段だった。起きたら、あいつがいなくなってた。父さん達に訊いたら、あり得ないことを言われた。


俺(兄)は事故で死んだ。生き残ったのはあいつ(弟)だけだ。


なんでなんでなんで!おかしい!そんなはずないじゃないか‼︎だって俺は今ここにいて!いないのはあいつの方じゃないか!

俺はしばらく混乱して、部屋に閉じこもっていた。そんな俺の所に姉貴が来た。姉貴は、俺が俺だと分かってくれたらしい。話を聞いて貰って、考えた。そして、一つの結論を出した。


俺は、あいつとして生きる。


あいつを、弟をこの世界から消したくない。

そんなことするぐらいなら、俺があいつとして生きてやる。


2段ベットの上で目を覚ます。下にいたあいつはもういない。ただ、どうしようもなく寂しくなった時には、あいつが寝ていた下の段に潜り込むんだ。

意識が呑まれてく…。



僕には、双子の兄がいた。

生まれた時から僕の隣には、あいつがいて。

あいつがいない僕は、僕ではないとさえ、思っていた。

僕達が中学生になった時だった。

このままじゃダメだ。そう思った。

きっかけは、母さん達が買ってきた2段ベットだった。

これまでずっと僕達は、同じ服、同じ机、同じ布団で過ごしてきた。それらには違いはなかった。でも、父さんの買ってきたそれは違った。


下と上。


それはとても小さな違いだったけど、僕達を変えることが出来るくらいには、大きな違いだった。

いつまでも一緒にいられるわけではない。いざとなった時、これでは困る。

僕達は、性格を変えることにしたんだ。

元々、勉強が僕より少しだけ得意だったあいつは、大人しく、物静かに。

あいつより少しだけ運動が得意だった僕は、明るく、活発に。

母さんや父さんは、驚いたみたいだった。5つ年上の姉さんには、僕達の決意を伝えた。笑われなかった。頑張ってって言ってくれた。

例え性格を変えても、あいつは僕にとって特別で、かけがえのない存在だったんだ。


なのに。


いなくなった。


高校生になって半年くらいだった。

正直、その日のことはよく覚えていない。覚えているのは、

突っ込んでくるトラックと、

前に立っていたあいつ。

次に目が覚めたのは、病院のベッドの上。

隣にいるはずのあいつがいない。

母さん達に訊いたら、あり得ないことを言われた。


あいつ(兄)は事故で死んだ。生き残ったのは、僕(弟)だけだ。


なんでなんでなんで!そんなはずない!あいつが隣にいないなんて‼︎それに、それに、僕は…!

僕はしばらく混乱していた。そんな僕の所に姉さんがきた。姉さんは僕の話を聞いてくれた。そして一つの結論を出した。


僕は、あいつの分まで生きる。


あいつがいないなんて考えられない。でも、それでも、生きて行かなきゃならないんだったら、あいつの分まで生きてやる。


2段ベットの下で目を覚ます。上にいたあいつはもういない。ただ、どうしようもなく寂しくなった時には、あいつが寝ていた上の段に潜り込むんだ。

意識が呑まれてく…。



私には、双子の弟達がいる。

生まれた時から二人はずっと一緒だった。

二人が中学生になった時、両親が2段ベットを買ってきた。

その時、二人から性格を変えようと思う、と言われた。私はただ、頑張って。とだけ言った。

実際、普段の様子を見れば、周囲の人には見分けがつくようになってたみたいだ。

でも、二人が高校生になって半年くらいの時。

二人は事故にあった。

横断歩道を渡っている最中に、信号無視した大型トラックが、ぶつかったそうだ。

知らせを聞いて、病院に飛んで行った。

そこで聞いたのは、最悪の知らせ。

双子の片割れが死んだ。

私は泣いた。

2日後、もう一人の弟が目を覚ました。双子の片割れが死んだと聞いて、酷くショックを受けたらしい。

目を覚ました弟の話と、持ち物などから、死んだのは双子の兄の方だ、と分かったと聞かされた。

目を覚ました弟に会いに行く。

弟は泣いていた。そっと首筋を撫でる。そして私は、見覚えのあるほくろを見つけて手を止めた。

おかしい。見間違えか?

そう思ったけど、そんなことはないと視覚が伝えてくる。

動揺しながら、弟の話を聞く。

そして、私の中である考えが浮かんできた。でも、それは突拍子もないことで。きっと何かの間違いだろうと、無理矢理自分を説得した。


でも、その考えは肯定される。


退院してから一週間後。朝、目を覚ました弟は様子がおかしかった。きょろきょろと辺りを見渡しながら部屋に入ってくると、両親に聞いたのだ。俺の双子の弟はどこだ、と。当然のように両親は慌てた。そして伝える、

双子の兄は死んだ。生き残ったのは弟だけだ。

弟は酷く驚いた顔をして、彼の部屋に閉じこもってしまった。

両親が、頭が混乱しているのかと騒いでいる部屋をでて、弟のもとに行く。私の予想がただしければ、あれは本当に双子の兄の方だ。

以外とすんなり部屋に入れてくれた弟。

私は、弟にお前は上の弟だろうと言った。

やはり、弟は頷く。

弟が落ち着いてから、私の考えを話した。


突拍子もないことだが、よく聞いてくれ。

お前達はあの日事故にあった。

そして、恐らくトラックにぶつかった衝撃で、二人の意識が入れ替わったんだろう。いや、信じられない話をしているとは、思っている。でも、そう考えるのが一番分かりやすいんだ。もう一つ、そう思った根拠がある。あの事故の後、下の弟の意識の方と話をしたんだ。あいつは、自分がお前を庇ったのになんで自分が生きて、お前がいないのかわからない、って言ったんだ。多分、衝撃であいつの意識がお前の体に入ったからだろう。そしてなんらかのきっかけで、またお前の意識が出てきたんだ。


そこまで言うと、弟はじっと考え込んでしまった。やはり、信じられない話だからだろうか。

やがて弟が、口を開く。

「…じゃぁ、この体は俺のだということか?」

「あぁ、両親は持ち物と最初に意識を覚ました方との会話で判断したから、下の弟だと思ったんだろうが、持ち物なんて交代して持っていてもおかしくないし、不思議じゃないだろう。私が気付いたのは、首筋のほくろだったが。」

「…なんで姉貴そんなとこ知ってんの…?」

「お前らのことならなんでも知ってる。」

「……。」

多分、下の弟の方が鍛えていたから、庇えたんだろう。二人の性格を変えたのがこんな結果になるとは…。

「…父さん達は俺をあいつだと思っているんだよな。」

「あぁ。」

「なら、決めた。」

腰かけていた2段ベットから立ち上がって宣言する。

「俺は、あいつとして生きていく!」

「そっか。」

私はそれだけ言った。


それからも度々二人は入れ替わっていた。

両親や周りの人には、一人の人格として見られているようだけど、私達3人には、一人一人いると分かっていた。


入れ替わりのきっかけは、あの2段ベットのようだ。上で寝ると上の子に、下で寝ると下の子に。

これだけは私しか知らない。


終わり


Mission 「2段ベット」Cleared

「双子」Cleared

Mission Complete!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ