純白のドレスはもう要らない
カッとなってやった。
ずっと書きたくて仕方なかった。
豊かに波打つ白金の髪
新緑を思わす翡翠の瞳
朝露に濡れた薔薇のような頬と唇
神聖なる処女雪のような肌
昔々あるところに
絶世の美女と謳われた女がおりました。
しかし女は、その美貌を持ちながらも、
「永遠の愛」は手に入らないと考えていました。
自身の美貌を愛さぬ者はいない。
しかし誰もが愛するこの美貌が朽ちれば
当然、得られる愛も朽ちるものだ、と。
だから女は
変わらぬ愛がこの世にあることを
幼い頃から証明したいと思っておりました。
そのためには、どうすればいいか?
ーーーこの美貌に群がる男ではダメだ。
この美貌が永遠ではないからなのか?
ーーーならば死の最後まで美しい心を持とう。
彼女はそんなことを考えて生きてきました。
「愛してるわ、野獣さん…」
そうして、見つけたのです。
永遠に自分を離さないであろう
醜く、愚かで、哀れなひとを。
「ベル、愛してる。ああ、君を失えば私は…!」
女を失うことを何よりも恐れる
とてもとても愛おしいひと。
真に手放せないのは、この女の方なのに。
「大丈夫、あなたが望む限り、ずっと側にいるわ」
縋るように抱きしめる野獣の背に、女は優しく腕を回しました。
そして毛に覆われた逞しい胸に、そっと頬を預けます。
「ああっ、ベル…!」
こんなにも美しく清らかな乙女が、自分のような醜い野獣に身を預けてくれるなんて!
そう歓喜に震える野獣の背を、慈しむように、何度も何度も撫でます。
そして女は野獣の腕の中で……
恍惚と、微笑んでおりました。