一章 俺に何をしろと。3
――――なんだか誰かに抱かれている。
ものすごく心地が良いな。
そっと目を開ける。
凄く眩しいのに、目を射すようなあの感覚は無い。
不思議だ。
意識が戻るにつれて、俺は何かに包まれている事に気付いた。
「こ、ここは···?」
俺を包んでいた何か大きな物が俺の疑問に答えた。
「ここは、私のプライベートルームだよ。哉くん。」
声のした方を見てみると――――
ち○まる子ちゃんに出てくる、あの玉ねぎみたいな奴だった。
声もそっくりである。
「あ、あのー、どなたですか?」
出来るだけ顔を見ない様にする。吐き気を催しそうになるからだ。
「―――私は神だよ。」
俺を包んでいた腕をほどき、どや顔で笑えない冗談を言いやがった。
「冗談キツいぜ、なが○わくん。」
ち○まる子ちゃんに出てくる玉ねぎみたいな奴の名前を言ってみる。
するとなが○わくんは、驚いて顔をしかめた。
「なが○わくん!?誰だソイツは。私は神だよ、神。」
なんだ、なが○わくんじゃなかったのか。
それにさっきから神神神うっせーんだよ。
「お前なんかなが○わくんで十分だ。」
「い、一体なが○わくんとは、誰なんだ····。」
するとなが○わくんは、急に真剣な顔になった。
「そうだ、君に大事な話があるんだよ。」
「大事な話?」
「周りを見てご覧。」
いちいち動作がウザイ。殴りたい。
まぁ、とりあえず周りを見てみよう。
――――――――あれ。
なんか浮いてない?俺。
宇宙にいるわけでは無い。息は普通に出来るし、逆に心地良いくらいだ。
天国みたいだ。
まぁ、俺は死んでないから天国では無いか。
「ここは、私のプライベートルームと言ったが、君の為に作った部屋なんだよ。」
「君が私を神だと信じないのなら、証拠を見せてあげよう。」
そういうと神?は自信気に、というかどや顔でこの空間に大きなテレビを出現させた。
そしてそのテレビには、ある映像が映し出されていた。
「この映像に見覚えはあるかい?」
この映像には、いつもの俺の通学路が映し出されていて、そこを俺が歩いている。
鼻唄を歌いながら。
鼻唄を歌っているという事は、この映像は今日の俺の様子が映されている。
こんなキモい鼻唄を歌っているのはどうせ、俺ぐらいだろう。
映像を見続けていると、急にというか、瞬きの間に周りの景色が変わっていた。
さっきの俺とまったく一緒だ。
景色も俺の反応も。
ドラゴン達と会った所までは映されず、ここで映像が終わった。
「ゴメンね。」
いきなり神?が俺に頭を下げて、謝ってきた。
「えっ?あ、はい。」
なぜ謝られているのか検討もつかない。
すると神?は顔を上げて、とんでもない事を言った。
「私なんだよ。君をあの世界に飛ばしたのは。」