一章 俺に何をしろと。
「ふふーんふーふん♪」
陽気に鼻唄を歌う俺。
実にキモい。
でも、許して!良いことがあったんだよ!
なんていったて、今日は俺に「あれ」が届く日なんだよ。
まぁ、ただのエアガンだけどね。
いや、今日届くのは「ただの」じゃない。
なんと500万人から抽選で一人に当たる、ものすっごおおおおおい「レア」なのである。
「お兄ちゃんキモいよ。」
鼻唄を歌いながら、自分のトーストにジャムを塗っていた俺に声をかける一人の美少女。
肩まで伸びている淡い赤色の髪の毛。
薄い茶色がかったつり目。
背丈は150cmくらいで、けして大きいとはいかなく、むしろ小さい方である。
そう、妹だ。
まぁ、確かに鼻唄を歌っていた事に関してはキモいと自覚している。
だが今の妹の発言には、明らかに悪意が感じられる。
まるで俺がキモいみたいじゃないか。
これでも一応顔には自信がある。唯一の自慢出来る事だ。
あ、自己紹介がまだだったな。
俺の名前は「沖崎 哉」で、趣味はエアガン集め。
地味だとか思わないでくれ。
彼女は、邪魔なだけなので居ない。(本当は喉から手が突き出ちゃう程、欲しい)
今は高校に通う普通の高校2年生。部活には入っていない。
去年まではバスケ部に入っていたんだけど、肩を壊してしまったので辞めた。
で、俺の隣に座っている美少女(妹)の名前は「沖崎 芽萎」。
友達の前では明るく楽しく過ごし、俺の前では冷たく退屈そうに過ごしている。
べ、別に悲しくなんかないんだからねっ!
ご覧の通り、俺は性格が残念な位にアレなので妹に嫌われている。
昔は俺にベッタリだったのに、今は目を合わせる度に何故か殴られるという始末。
俺って可哀想。
ちなみに親は両親共に仕事が忙しく、俺たちが学校に行く頃にはもう家に居ない。
仲は良い方だと思う。
「ねぇ芽萎、そこのお茶取って。」
パンをかじりながら、いつも通り芽萎に話かける。
「うん。分かった。」
芽萎はもうパンを食べ終えた様で、口を拭きながら優しく手渡してくれた。
「ありがと。」
不意に芽萎と手が触れてしまった。
(やべっ)
「きゃああああああああああっ!」
「ぶほぉっ!」
芽萎の強烈な右ストレートが俺の鼻に直撃する。
一体どこからそんな力が出てくるのか不思議なくらい、怪力なのだ。
未だにこのパンチには慣れない。
「す、すまん。」
鼻から溢れ出てくる鼻血を片手で抑えながら、懸命に謝る俺。情けない。
だが芽萎は、俺の方には目もくれず走って洗面所に向かった。
「ジャャー。」
勢い良く流れ出る水の音。そして手をハンカチで拭いて戻ってくる芽萎。
(手を洗ったのかあああああああああっ!)
お兄ちゃんショック!
不登校になっちゃうぞっ。
「もう学校行くからっ。」
それだけ言い残し、家から出ていってしまった。
殴られるのは、いつもの事だったけど、手を洗われたのは初めてだ。
俺の精神は瀕死状態だ。誰か助けて。