女装開始
空き教室に到着、でもそこには誰も居ない。
この空き教室は普段は机や椅子などは置いていなくガランとしている。
だけど、今は教室の中央にダンボールと化粧品らしきものとカツラ段ボールの上にはノートの切れ端らしきものがあった。
“遅いから先にいく、絶対に約束を守って女装しろよ♪ by男子一同”
「本当、奏汰は男に嫌われてるよ」
僕は思わず声に出して言ってしまった。
時計を見るとあと五分でHRだ絶対に間に合わない。
僕は溜め息を一回つき取り掛かることにした。
─────
やっぱり間に合わなかった、もう一時間目が始まっている。
教室を覗くと数学の渡部先生が授業を始めていた思いのほか女装に時間がかかってしまった、やっているうちに楽しくなってしまったんだ、仕方ないだろ奏汰に化けていたって僕は女なんだ、女装とは言えやっている事は女の僕に取ってはオシャレしているだけ普段出来ないから余計にだ。
僕は教室に入る前に深呼吸をし教室のドアを開けた。
「すいません!遅れました」
僕は地声でいった、今までは奏汰の声まねをしていたけれど女装だし大丈夫だろ。
「誰かね君は教室を間違えているんじゃないかね?」
渡部先生は怪訝な顔をして言った。
「やだな何言ってるんですか、僕がわからないのですか?」
奏汰の声に戻しカツラを外して言った。
一気に教室内が騒がしくなる、中には口をあんぐりあけて見る者や信じられない物を見たせいか頬をつねっている者、目をごしごし擦っている者もいた。
そんなに酷い仕上がりなのか一応こんなだけど僕は女なんだぞ。
と、傷つき落ち込んでもいられないので僕は渡部先生に事情を言う事にした。
「罰ゲームですよ、今日から一週間女装しないといけないので見苦しいのもわかりますが目を瞑って下さい」
そう言うと僕はカツラをかぶり直し自分の席についた。
この一週間僕が学校に来ることになるだろうと思い僕は深い深~い溜め息を吐いた。