乙女心は変わりなく【前編】
乙女はホントは不思議少女?!
近くの駅から電車を乗り継ぐこと三十分、そこから徒歩五分のところに私立高校がある。我が、緑川大附属高校はごく平均並みの生徒が集まる。
俺等は今年で二年になる。
俺は二階の廊下の窓から中庭を眺めていると『悪いけど、他あたって』と理不尽な声が聞こえてくる。
その声の主は、幼なじみのゆりりんだ。
本名、北沢ユリ子。容姿端麗、成績優秀、おまけに不思議少女で有名人となった。そりゃ、モテるわ。
今日も、別の男に告られていた。もちろん、答えはNO。
「ありゃりゃ〜あゆくん、覗きがシュミ?」
そんなわけあるかい!!
「遇然、通りかかったんだよ」
弁解してみるが「信じない」と冷笑された。
二時間目は古典の自習だった。
「あんたんトコって、いつも賑やかよね」
頬杖を突いていたゆりりんが、イキナリ俺に話し掛けた。俺は目を丸くして、金魚のように口をパクパクさせた。
「えっ、えっ。オレ、歩ん家に行った事ないんスけど。何、女連れ込んでんだよ」
竜崎啓吾。通称、啓くんだ。長身で、肌の色が浅黒い。体育の成績だけは超ユウシュウ。彼女あり。
「連れ込むかよ!!」
俺の突っ込み。よし、勝った!!
「羨ましいナ〜。同じ男として応援するゼ☆」
って、聞いてねぇ。敗北決定。
一体、キミは何を応援するというの?
「啓くん、落ち着いて。ユリチャンと歩くんは家が隣同士なの」
小学生のトキからずっと一緒なんだよね、と姫ちゃん。本名、姫野鈴佳。セミロングの黒髪で、二重で、日本人形みたいな女の子。
俺的に、めっちゃ好み・・・・・ってそんなこと聞いてねぇし。
「つまり、歩の部屋と対称にゆりりんの部屋があるって訳だ」
フムフム、と啓くんが頷く。