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DECIDE YOUR DESTINY  作者: 北村タマオ
第3章 北沖戦争篇
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0039 不良軍人

 王光貞准将は、沖那波宇宙軍にて10本の指に入る頭脳とされていながらも、どうにもやる気が出ない気持ちを誤魔化す事が出来ずに居た。他の作戦班の作戦士官や佐官は喜んで見せているのだが、どうにも光貞准将の気持ちは晴れない。何でそんな顔をしているのか、との問いに対して、光貞准将は正直になって、否、相手を小馬鹿にする態度で言い放つ。

「私が思うに、これ、抜き打ちのテストか何かだと思うんだが、どうだかな」

 それはどう言う意味なのか、重ねて尋ねる相手に答える。

「「中枢への決定的な奇襲作戦」なんて、格好良さげな単語を繋げて作った様なお題目、真面目に考えているのかって話だよ」

「もう戦争は回避できない所まで来ている、と言う意味では無いのか?」

「確かに、我々は超空間飛躍技術を開発して、ワープゲートの必要無しに、この広大な宇宙生活圏を飛び回れる。だからと言って、敵の中枢を討てなんて、何処からそんな強がりが出てくるんでしょうか。小官如きには分かりません」

「……理由を言え」

「我々に出来るのならば、敵にも出来ます。それでも尚、我々が生きているのは、どう言う意味なのか。そこまで説明が必要ならば、明日にでも此処を辞めるべきですね」

「まだ戦争を始める時期ではない、と言う事か」

「いや、そうじゃなくて、出来るのであれば敵はとっくの昔に実行している筈なのに、そうしないのは何故だろうと言う事だ」

「とどのつまりを言え」

「無理だからやらないだけです。こっちの、沖那波から北海途の首都までハイ・ワープするのには、精密かつ正確な航路計算が必要ですが、それは今の所、不可能です。機械を用いても計算不能です。また計算できたとしても、実行に移せば同じ手段で必ず報復されます。それを阻止するのは不可能です。ワープ中の敵への攻撃、または妨害、阻止、何れも今の所は技術的にも物理的にも不可能です」

「しかし、こちらが先に実行すれば、先手必勝と言う言葉も」

「だぁかぁらぁ、我々に計算できるのであれば、敵にも出来る。それでもお互いにやらないのは、それが不可能だからだ。早い話、それが出来た時点で戦争になんてならないんだよ。お互いの中枢を潰し合っていたら、1週間もしない内に国家が瓦解してしまう」

 黙り込む作戦士官や佐官は、この不良軍人の言う事にこれ以上の異論・反論をぶつける事は出来なくなっていた。

「……だが、命じられた以上は真面目に考えなければならないな。そこだけは考えよう」

 こいつ、本当に嫌な奴だ。最初から自分のアイデアありきにて話を進めていたのだ。お前ら如きがこんな難しい課題をクリアするなんて不可能でしょ、でもこっちにはちゃんとしたアイデアあるよ。お馬鹿なお前達の為に、最後の最後に教えてあげるよ。

 なんて、嫌味な態度、何処で覚えてきたのか。まぁそれは良い、その問題は置いといて、そのアイデアだけは聞いておこう。

「その前に、こっちの中枢に確認しておこう。敵の中枢を叩けと言うが、軍事的な中枢か、あるいは政治的な中枢か、どちらなのか、と言う点を確認したい」


 王光貞准将は、自分のアイデアを中枢への確認の後に披露した。

 ……今回のこちらの標的は、北海途の政治的中枢、即ち現政権の閣僚クラスの政治家に至るまで、としている。こちらから「敵」の首都星まで殴り込んで行政府を攻撃するのは、先述の通り不可能である。もっと戦いやすく、そして狙いやすく、動きやすい地域へと誘引した上で、これを撃破するしかない。狙うべきは、敵の政治的中枢、大統領は勿論、その配下の閣僚まで全員とあるので、所謂エアフォースワンを狙えば良い。

 ……一番我々にとって都合の良い陽動先として、惑星テラースがある。我が国と敵国との中間点に位置する同惑星は、今や殆ど住民も住んでいない、産業も無く、「宇宙統一戦争」の主戦場と言う歴史的価値しかなく、これから我々が戦う事になる新戦場としてもうってつけである同惑星に、なんとかして敵の「中枢」を誘引し、然る後に殲滅するより他にない。


 なんだ、勿体振った割には、あんまり驚かないアイデアだ。だが、それでもこれしかないと言えるアイデアだ。天才にしか出来ない作戦を考えるよりは余程良い。確かに、それならばもう少し現実的な話として受け入れられる。

「問題は、どうやって敵の「中枢」を惑星テラースを誘き寄せるのか、だが」

「あ、来ますよ。2週間後に。北海途政府の記念式典で、「宇宙統一戦争慰霊祭」として、政府閣僚級が集まるそうです」


 ここでようやく、ハッキリと感情を面に出した作戦士官や佐官は、かなり居た。ここまで茶番を重ねられると、いい加減頭にくる。要するに、こいつは最初から答えが見えていたのだ。そんでもって、此処までのこの態度、舐め腐っていると言わざるを得ない。

「お前、何のつもりで!」

「別に、他意はありません」

 こう言う済ませた態度も頭にくる。こいつ、今まで人に好かれた事とか、一度もないに違いない。



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