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一緒に行こう

 何度かの中継地点を挟んで、次の街へ辿り着く頃には数日が経過していた。


 「なんだかんだで奴隷だった頃は一か所に留まる時間が長かったから、移動に関しての疲労感は今回の方が辛かったわね……」

 『しかし、今お主を縛る者など居ない。それ故の代償と考えればいいのではないか?』

 「そうね」


 金を払い、とりあえず移動中に凝り固まった身体を解し、尽きた食料を買い足しに露店へ向かいながら街の様子を伺う。


 「まだ、あの事はこっちまで伝わってないみたいね」


 人の往来に目を向け、飛び交う世間話に聞き耳を立てながら干し肉を眺めつつ呟く。


 『ここもすぐに発つか?』

 「そうね、食料を手に入れたら移動かな。馬車の方が確実に早いけど……このままだと流石にお金が……」

 『ふむ……同じ方向に向かう商人の護衛など請け負ってはどうだ?金も入るし目的に近づける』

 「そうねぇ……私みたいな小娘の護衛なんて雇ってもらえるかしら?」

 『腕試しでもして実力を見せて売り込むのはどうだ?我も補助できるし負ける事は無いと思うぞ?』


 顎に手を当て熟考していると、何人かの商人が冒険者たちに声をかけたり、冒険者ギルドの建物に入っていくのが見えた。


 「あ、あの!」


 どうしたものかとその光景を眺めていると、背後から声をかけられ振り向く。


 「はい?」

 「あ、あの……冒険者の方ですか?」

 「いえ、ただの旅人よ」

 「そ、そうなんですか……」


 妙におどおどした態度で明るい茶色の髪の小柄な少女が、下を向いたりちらりとこちらの様子を伺うようにせわしなく視線を動かしつつ露骨に肩を落とす。


 「どうかしたの?事情だけでも聞くけど」


 あまりにも気落ちして心なしか小さくなって見える少女の反応に、思いのほか心苦しくなって思わず声をかけてしまった。


 「え、えっと……あの、ここより北の街に向かいたいのですが……あの、私一人だけで行くのは怖くて……あの、護衛をお願いしたくて……人を探していたんですが……」

 「護衛依頼ならあそこの冒険者ギルドに依頼を出して、受注した方が確実よ?通さないで個人で依頼を出せない事もないけど、その場合冒険者側が勝手に値段を吊り上げたり出来るから大損する場合の方が多いって聞くけど?」


 縮こまりながら消え入りそうな声で説明してくれた少女に、言い聞かせるように腰を曲げて目線を合わせながら助言すると、首が千切れるんじゃないかと思う程左右に振り乱した。


 「むむむむりです……知らない人と話すの怖くて……立ち尽くしてたんです……けど、貴方の背負ってる剣から強い魔力を感じて、気になって……声をかけてしまって……すいません」

 「貴方……魔術師……なの?」

 「は、はい。一応……え、えへへ」


 にへらと笑い、少女は頬をかく。


 『悪意は感じないし、組めば良いのではないか?少数の方が今のお主には都合が良かろう?』

 「……そうね。分かった、そうしますか」


 私はおどおどした態度のまま、こちらを伺う少女に向き直る。


 「料金はそちらが無理の範囲内で出して貰えれば良いわ。夜の見張りはしっかり務めるからそちらもお願い出来るなら契約成立ってことでどう?」

 「え、あっ!はい!勿論大丈夫です!よよよろしくお願いします、エレナって言います!」

 「私はアイナ、よろしく」


 軽く握手を交わし、私たちは荷物を纏めると街を出た。

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