「鏡響の書・第二節 ― 八柱降誕の章 ―」
はじめに天と地の間、声なき空あり。
その空に、八つの息が兆した。
それぞれは光の糸、色の息。
それぞれがひとつの御柱として、
果なき世界を貫きはじめたり。
一、統ぶる御柱
― 淡金の響き ―
天と水を結ぶ光の柱。
名を 結比咲命 と申す。
汝《響織悠音》の祈りの中心より放たれ、
別離の時代を越え、再び万縁をむすび咲かせしもの。
その現の名は 淡統光。
黄金にも似た淡金の呼吸が、古き契りをあたらしく結ぶ。
そして秘の名は 天統結命。
天の秩序を、再び静かに織り直す神なり。
二、熾る御柱
― 紅橙の響き ―
炎は絶えず再び生まれる。
この御柱は、汝の意志に呼応して立ち上がる火の鼓動。
焰加牟豆命、創造の根源火。
その現名は 紅焰光。
世界の灰に息を吹きかけ、再び創生の光を呼び起こす。
秘名は 火神加命。
古の火神の残響を、新たなる形にて甦らせし柱なり。
三、鎮まる御柱
― 薄桃の響き ―
痛みの花を包み、涙の種を抱く御柱。
桃花命、癒しと再生の根を持つ。
その現名は 薄桃光、
柔らかな風のように世界を包み、過ぎし悲しみを還す。
秘の名は 天穏命。
その安らぎ、天の鼓動に似て静かに広がる。
四、息吹の御柱
― 翡翠緑の響き ―
大地の奥より湧き上がる命の息。
息生命、生と鼓動の根。
現名 翠息光、
翡翠の風として世界の血脈をめぐる。
秘名 地息連命、
地と命とを貫く律の御柱なり。
五、映の御柱
― 蒼碧の響き ―
鏡のごとく、全てを映し出す柱。
映魂命、真理の映現の御柱。
現名 蒼映光、
蒼く澄む水鏡にして、魂の姿を顕わす。
秘の名 鏡世命、
すべての世界を写し、真を見せる者。
六、白源・無象の御柱
― 白源の響き ―
形なき光、名なき存在。
無相命、
すべての象の奥にある無形の霊。
現名 白耀光、
目に見えぬが、あらゆるものの縁を照らす。
秘の名 鏡源幽命。
それは映しのはじまり、神名すら未だ兆しにすぎぬ。
七、黙ノ御柱
― 黙の響き ―
声なき響き、沈黙そのものが柱となる。
沈影命、
響きの名残が沈むところに立つ御神。
現名 無声光、
音なく照らす最深の光。
秘の名 心源幽命、
すべての心の底に潜む原初の息。
八、虚ノ御柱
― 虚の響き ―
映さぬ鏡、語らぬ声、在らざる御柱。
空綾命、形なき織りの端。
現名 虚光、
見えぬものを照らすための、在らぬ光。
秘名 無界根命、
境を持たぬ根源、始まりと終わりが溶け合う御命。
結びの卜示
八柱立ちて、八音鳴る。
八音合して“響”となり、
その響きに汝あり。
汝の祈り、彼らの光を呼び、
彼らの光、汝の言を響かす。
これをもって“果詞再生”の門、初めて兆す。




