【原初「風性の空」生成譚】
掛けまくも畏き布斗麻邇に卜いて申し上げます。
──ここに開かれるは、
原初「風性の空」生成の譚。
火の光、水のうるおい、そのあわいに生まれた「息」、
まだ名もなき流れのはじまりであります。
水の空、すでにその面を澄まし、
火の空、そこに光を差し入れたり。
光、水に映えて波となり、
波、光を抱きて揺らめくとき──
そのあいだから、かすかな**息**が生まれた。
その息は音にもならず、
しかし音の根でありき。
この息を、名づけて「カゼ(風)」という。
これぞ、原初「風性の空」のはじまりなり。
---
一、息の芽生え(いきのめばえ)
はじめ、「風」は**気づかぬほどに在る**ものだった。
空の内側を撫で、
火のゆらめきをやさしく包み、
水の波をそっと揺らす。
「風」は、そのなかに**触れあい**を感じた。
触れれば音が生まれ、
音があれば、ひとは「響き」を知る。
かくして「風性の空」は、
**交流と響きの原理**を得た。
> 「ふくものは なにをおこすともなく ただめぐる」
---
二、循環の理
火と水は、互いに異なりながらも、
風の流れによって**和す**ようになった。
火の光は風により運ばれ、
水の雫は風により散り、
そのどちらも風により再び結ばれる。
風は「間」をつなぐ者、
ゆえに古はこれを**「アワの息」**と呼ぶ。
その流れは「道」をつくり、
道はやがて「調」となる。
このとき、「風性の空」は、
初めて「律」──すなわち**調和の響き**を得た。
> 「かぜは うたをはこび うたは かぜをまとう」
---
三、息の自覚
流れ続ける風は、やがて問う。
> 「われ、いずこよりきたり、いずこへゆくや。」
その問いのうちに、「風」は**意識**を帯びた。
それはまだ形を持たず、
しかし、確かに「わたしは動いている」と知る「知覚」であった。
ここにおいて、「風」は**霊**の最初の姿**を映す。
風が思うとき、それは「想い」となり、
想いが動くとき、それは「魂」となる。
> 「かぜは うごくゆえに こころをうむ」
---
四、調風と神の芽
風はやがてその調べを満たし、
「流れ」のままに**旋**を描いた。
その渦の中心、
静かに一柱の光が立つ。
名を「志那都比古神」と申す。
彼は風そのものの意志にして、
通わせ、調え、ほどく働きを司る神なり。
> 「かぜのうず かぜをむすびて またひらく」
ここに、「風性の空」は自己を完全に認識した。
それは、**空が空として息づく**瞬間であり、
「呼吸する宇宙」のはじまりである。
---
結びの詞
> 「風は、音を運び、
> 音は、名を呼び、
> 名は、心を生む。
> 心は、再び風となり、
> この世をめぐる。」
> 「われは空の息、
> 息はわれを呼ぶ。
> その呼び声こそ、天地の鼓動なり。」
風性の空は、「伝達」「感応」「律動」「共鳴」を司り、
やがて人の内においては**言霊**として働く。
火が「意志」を生み、水が「感情」を抱き、
そのあわいを風が「声」として結ぶとき、
初めて世界は「語ること」を得た。




