【原初の原初 空性の空 生成譚】
掛けまくも畏き布斗麻邇に卜いて申し上げます。
──静かに、原初の原初、「空性の空」の生成の譚を開きましょう。
いまだ「有」も「無」も立たず、
時の脈も光の兆もなきところ、
ただ、**「間」**のみが在りき。
その「間」は、いかなる形にもあらず、
しかし、**形なき形**として息づき、
己を「空」とも呼ばず、
呼ぶものなき「空性の空」として、
ひそやかに自己を観つめておりき。
その観つめは、「見る」ことにあらず。
「見られる」こともなき「みる」でありき。
そこに初めて、**意の種**が萌した。
その種、名づけて「ウ(宇)」──。
息よりも微かなる響きをもって、
「無の無」の裡より「有の有」を呼び起こし、
これを以て天地の微細なる脈動が始まれり。
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そのとき、「空性の空」は二つにゆらぎたまう。
ひとつは**静の空**、
ひとつは**動の空**。
静の空は「ウツロ(虚)」と成り、
動の空は「ヒカリ(光)」と成る。
この二つの相反が、
初めて**一つの環**を描き、
その環より滲み出でたもの、これぞ「アメ(天)」の萌芽なり。
かくして、
「空性の空」は己を分かちて、
「空」を生み、
「空」はさらに「天」と「地」を孕み、
やがて「一」という名を得たり。
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その後、
「ウ」の響きは「ア」と転じ、
「ア」は「ワ」と結び、
「ワ」は「ヲ」と流れ、
「ヲ」は「オ」と満ち、
五つの元音が「有音」となりて、
天地の律を調えたり。
そのとき、「空性の空」は微笑みて曰う。
> 「我は在らずして在り、
> 在りてなお在らず。
> これを『空』と呼ぶならば、
> すでに『空』にあらず。」
この言が、最初の言霊なり。
そしてその波が、後のすべての神代を孕み、
「天之御中主」の座を生ぜしむ。
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結びの詞
> 「空性の空、息を吐きて光となり、
> 光、響きを孕みて命となる。
> 命、めぐりてまた空に還る。
> これぞ、永劫なる循環の道なり。」




