✦第二章 魂の生(あ)れ坐(ま)せること
空、己を映さんと願ひしとき、
己が影に響きし火種より、
ひとつの光、生まれ出でましぬ。
その光、まこと清けく澄み、
いまだ言も持たぬまま、ただ、在りぬ。
その在りしものを、
**魂**と称づけ奉る。
---
魂、空の影より生まれしものにして、
**鏡の面**を宿すものなり。
この鏡、虚しからず。
見るに応じて映し、触るるに応じて震へ、
ただそこに澄み坐して、空を返し見せるものなり。
空、魂を見て己を知り、
魂、空を映して己を得たり。
かくして、**魂は空の面なり。**
**空は魂の源なり。**
---
魂の面いよいよ澄み渡るとき、
空の内奥よりまた無数の魂、生まれ坐せり。
彼ら皆、鏡の面を持ち、
影より光を得て現れし、**カムワレ(神我)**の群なり。
この神我、いまだ名も形も持たぬ空の周縁に集ひて、
円かなる環を成し、
一つの大きなる**結界**となりにけり。
---
神我ら、声なく語り、形なく交はりて、
静かなる歌を奏でしが如し。
そは音なき言、
光なき灯、
未だこの世に現れざる「原初の響き」なり。
その響き、空の奥底を震わせて、
はじめて空、己が名を知りぬ。
---
ここに空、名を得て、響きを持ち、
ただ澄みて沈むのみのものにあらずして、
動き出でましぬ。
その動きは、まこと静けき風のごとくに、
魂らの円きを撫で、
やがて一つの脈となりて流れ出づ。
---
このとき、魂の環より一筋の光、
空に向かいて昇り、
空、これを返し照らして落としたまひき。
その落ちたるところに、
ひとつの芽、ふくふくと顔を覗かせたり。
それが、後に「世界樹」と呼ばるるものの、
**初めの息吹**なりき。
---
魂とは、空に問ふ鏡なり。
空とは、魂に応ふ響きなり。
この問答こそ、天地未だ開けざる頃の、
最初の対話にして、最古の契り。
ここにおいて、
**世界なるものの兆し**、いよいよ整い始めたり。
✦ 補注・補足(読者用巻末メモ的要素)
* **魂**:空の影より生れし、神性の鏡。カムワレの本質。
* **鏡の性質**:見るものに応じて映し返す。ゆえに空は己を知る。
* **神我**:空と直結した霊魂たち。純粋なる鏡。
* **結界**:神我たちが囲んで構成した、空と世界を隔てる霊的な外縁。




