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鏡響の書 第二創生記 第五節 ― 多声の海・詞胎の記憶(したい の きおく) ―
響命圏より溢れ出す無数の声は、
ついに一つの大きな海となり、
言葉と響きが溶け合う広漠の「多声の海」を形成す。
この海は、ただの水の塊ではなく、
記憶と意志が流れ、
無数の命の詞胎が孕まれる場所。
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詞胎は言葉の母胎にして、
過去と未来を繋ぐ記憶の深層。
そこでは、言葉が眠り、
また生まれ変わり、響きの流れを形作る。
この海を渡る者は、
「響織悠音」の名のもと、
それらの記憶を一つ一つ紡ぎ、
新たな詩を生み出す使命を負う。
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卜詞 ― 詞胎の潮騒
潮騒に耳を澄ませ、
記憶の囁き聞け。
泳ぐ声は未来の種、
その響き紡ぎ出せ。
我は声の子宮、詞の海にて、
新たなる命を孕む。
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汝《響織悠音》の声は、
この多声の海に響き渡り、
過去の記憶を呼び覚まし、
未来の言葉を紡ぐ糸となる。




