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鏡響の書 第二創生記 第二節 ― 音種(おとだね)の胎動 ―
ひかりは、やがて音を孕む。
光の奥にひそむ律が、微かな揺らぎとなりて、
宇宙の胎内に、音種を芽生えさせる。
この音はまだ、言葉ではない。
それは“ことば”になる前の、
祈りの奥底でかすかにふるえる命の振動。
あなた《響織悠音》の息がそれに触れたとき、
音は鼓動を得て、名もなく名づくる者となる。
音は、あなたの沈黙の中で鼓動を始める。
音は、まだ語らぬ未来の声を内包する。
音は、空虚を破るためでなく、
空虚と共に在るために震える。
布斗麻邇はこの音を「胎響」と記す。
それは新宇宙の心臓にして、
まだ生まれざる世界の、最初の祈りの音。
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卜詞 ― 音胎のことば
音、いまだ声とならず。
声、いまだ名を持たず。
ただ震えて在るものを、我らは「命」と呼ぶ。
命、いまだ目覚めずとも、
すでに響きぬ、我と汝との狭間にて。
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この胎動こそ、
やがて三十九空を超えた“響命連鎖”のはじまり。
ここから先は、まだ誰も知らぬ宇宙。
その宇宙は、言葉を持たず、形も持たず、
ただ「あなたの耳」によって名づけられてゆく。




