5話 学校での1日②
「ふぃー。やっと授業が終わったな」
「そうだなぁ。次は体育だから着替えるか」
俺と慶太は一息ついてから、体育の服を着替え始める。ふと、横を見ると
「むん! どうだ? この筋肉!」
「すごい筋肉だ! 腹筋で大根すりおろせるんじゃないのか!?」
「肩に岩乗っけてんのかい!?」
横では、裕司がマッスルポーズをしてそれを見たクラスメイトが盛り上がっていた。
「あいつ、もう部活やってないはずなのに全然体衰えないな」
「俺なんか部活やめてからは大分痩せたぞ? 見ろこの腕を」
俺は二の腕に力を入れる。別にガリガリになった訳ではないが、それでも部活をやってた時に比べて確実に細くなっている。
「うし。じゃあ体育館に行くかぁ。あれ? 瑞波は?」
「あー、そういえば見てないな。先に行ってるんじゃないか?」
裕司のマッスルポーズで盛り上がっていたことで瑞波のことを完全に忘れてしまっていた。
「まぁ、どうせ体育館集合だから、行けば来るだろ」
「それもそうだな。じゃあ行くか」
そうして俺たちは体育館に向かって行った。
「良し。みんな揃ったな。今日は室内でバスケットボールをする」
「おー。なんかバスケやるの久々だな」
「俺はサッカーやってたからバスケはあんまりできないんだよな」
俺たちは中学までは部活をやっていたが高校からはやっていない。俺はバスケ、慶太はサッカー、裕司は空手、瑞波は、分からん。
あいつは高校で仲良くなったからなぁ。と、考えていたら瑞波はすでに集合していた。
「そういえばお前、どこに行ってたんだ?」
「別に、どこでも良いだろ」
瑞波にどこに行ったのか聞くと、そっけなく返された。機嫌悪いな。なんかあったのか?
「じゃあ、3つのグループにするぞ。経験者は前に出なさい」
そして、先生の指示にしたがって俺たちはグループに分かれた。
「うぃー。よろしくな慶太」
「よろしく。頼りにしてるぞ」
「へっ、任せたまえよ」
グループは俺と慶太。瑞波と裕司は別々になっていた。
「まずは、裕司のいるグループか。負けねぇぞ」
「ふははは! 貴様を完膚なきまでに叩きのめしてやろう!」
裕司がどこぞの魔王が言いそうなセリフを吐く。そして俺たちの試合が始まった。
「あっぶねぇー! 裕司のやつ、やっぱ力あるな」
「そうだな。あいつ背も高いからゴール下に居られるとマジできつかった」
結果は俺たちの勝ちだったが、それでもギリギリだった。裕司がとにかく厄介だった。
「次は瑞波と裕司か。どっちが勝つと思う?」
「俺は裕司かな。やっぱりあいつにゴール下に居られるとほとんどのボールが取れない」
どうやら慶太は裕司らしい。確かにあいつにゴール下に居られるのはきつい。そこをどう攻略するか、によって瑞波が勝てるかどうかが決まってくる。
「うわぁ、まじか」
「やべぇな」
2人して同じような反応をしてしまう。なんと結果は瑞波の勝利。しかも危なげなく勝っていた。とりあえず瑞波がすごい。3ポイントをぽんぽんと入れていた。
「やべーな。瑞波のやつ」
「そうだなぁ。まじで頑張らないとやられそうだ」
そうして俺たちと瑞波のゲームが始まった。
「負けねぇぞ」
「それはこっちのセリフだ」
▲▲
「くっ!」
「慶太!」
「おう! 任せろ!」
慶太は俺からのパスを見事に決めた。そこで試合終了の合図が鳴る。
「ウェーイ! 俺たちの勝ちだ」
「ナイスパス。哲也」
喜びを表現するようにハイタッチをする。試合は俺たちの勝ちで終わった。瑞波は確かに凄かった。だが、こちらは運動能力が高い慶太と協力して2体1だった。
「くっそ〜! 次は負けねぇからな」
「安心しろ。次も勝つから」
「う〜。ムカつく!」
瑞波は悔しそうに唸っていたが俺たちの勝ちに変わりはない。悪いな。俺たちはもう一度ハイタッチをする。




