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女の人と浮気ばかりする王子様系の彼女。俺は別れて普通の青春を送る  作者: 賀田 平太


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1話 もう良いや


 人生とは思い通りに行かないことばかりだ。

 勉強、運動、恋愛。

 中でも、恋愛。

 そう、こいつが中々の曲者である。


「はぁー」


 ため息を吐きながらも学校へ登校するナイスガイ、俺の名前は黒河哲也だ。


 黒髪の少し癖っ毛がチャームポイントの普通の男子高校生である。


 さて、なぜ俺がため息を吐きながら登校しているのか、気になる人間もいるだろう。


 憂鬱な月曜日だから?

 それとも期末テストが近いから?


 違う違う。

 いや、やっぱりそこも憂鬱ポイントではあるが、1番の問題はそこではない。


「やぁ、哲也。待った?」


 男子にしては高い、だが女子にしては低い声が背後から聞こえた。

 振り向くと俺と同じかほんの少し低いくらいの身長に金髪のショートヘアのイケメンがいる。

 スカートを履いていなければ、おそらく男だと誤解されるであろう女子生徒がやって来た。


「いーや。別にそんなだな」


「そっか、じゃあ行こうか」


 一緒に学校へと向かう。

 俺の最近の問題とは、この学園の王子である不知火桃華が関係している。


 そう、あれは二週間前のことだった。

 俺は一目惚れして、速攻で彼女に告白して付き合えることになった。

 その時は勇気を出して本当に良かったと思う(桃華はすごい軽い返事だったけど)。


 だが、彼女には問題があった。


「あ、桃華さん! 今日私と一緒にお昼ご飯食べませんか!」

「良いよ。じゃあ、それまでいい子にしててね」


 そして近づいて来た女子生徒に頬にキスをして頭を撫でる。仮にも俺は彼氏なので良い気分はしない。


「なぁ桃華。それ、俺の前でやめてくれって前にも言っただろ」

「ごめんね。でも彼女はとても嬉しそうだったし、第一に君が僕に告白してきた時にある程度は我慢してもらうって言っただろ?」

「それでも限度があるだろう」


 桃華が言ったように俺が彼女と付き合う条件が他の女の人とのやり取りに口を出さないことだった。

 やはり、こいつは学園の王子と言われるだけあって、他の女子生徒に(男にもそれなりの人気がある)大人気であり、このようなやり取りを二週間ずっと見せつけられている。


 一体なんて名前の拷問だろうか?


「学校についたね。それじゃ、また下校時間に」

「………あぁ、またな」


 俺たちはクラスが違うので下駄箱の所で自分たちのクラスへと向かう。

 この時点でかなり俺の気分は落ちている。


「ウィース」

「おー、哲也。おはよう」

「はよぅ」


 俺に挨拶をしてきたのは太田慶太。茶色の髪に爽やかな顔立ちが印象的な男である。


「朝から見せつけられてな。気分がナーバスだよ」

「ナーバスの使い方合ってるか?」


 あれ、ナーバスってこんな感じで使うんじゃなかったっけ? もしかして違った?


「まぁ、そこはどうでも良いか。それより俺たちは前から言ってるだろ? 早く別れた方が良いって」

「お? なんだ? やっと俺たちの言葉を聞く気になったのか?」

「やっと哲也が話を聞く気になったか」


 

 

 俺たちの会話に新たに二人が参戦してきた。女より女らしい顔をした小柄な男と彫りの深い顔立ちに体格の良い男が集まってきた。

 女男が日比谷 瑞波。

 ムキムキ男が大沢 裕司だ。


「うーん。確かに最近すげ〜苦しいなぁ」

「そりゃ苦しいだろ。自分の彼女が目の前で堂々と浮気してるようなもんなんだから」

「もし、自分の彼女があんなことしてたら、発狂するわー」


 慶太と裕司がうんうんと頷いてる。言われてみれば確かにな。

 普通、彼女が別の奴とイチャイチャしていて良い気分のする男なんていないよな。


「でも、お前ら彼女いないじゃん」

「「それは言うな」」


 瑞波の淡々としたツッコミに2人が声を重ねた。こいつらは彼女はいない。俺たち男子だけで良く遊んでることが多い。

 こいつら顔はいいなのにな。言動が馬鹿みたいだからなぁ。


 まぁ、そこがこいつらの良いところでもある。それに、本気で俺の心配もしてくれるし。



「………良し、決めた。今日の放課後にあいつと話し合ってどうするかを決める」

「おー、もし別れることになったらカラオケでも連れてってやるよ。もちろん奢りだ」

「まじで? 良いんすか? 慶太さん」

「いや、そうなったら俺たち3人でお前の分を出す」


 おー、しれっと裕司と瑞波を巻き込んだな。



「おい! なんで俺まで入れてんだよ」

「別に良いじゃん。瑞波んち超金持ちなんだから、友達の慰安会くらい俺たちで出してやろうぜ」


 裕司が言ったように瑞波の家は超金持ちである。家に入ったことはないが俺たちでも知ってるほど日比谷家は凄い。

 しばらくすると瑞波はため息をついて言った。


「ったく、しょうがねーな」


 そんなくだらない話をして笑いながら盛り上がっている4人。もし、別れることになったとしてもこいつらがいるから大丈夫だな。


>>>>>>>


 放課後になって、俺は校門前で桃華を待っている。しばらくすると桃華がやって来た。


「お待たせ。じゃあ帰ろうか」

「あぁ。帰るか」


 俺は今日、こいつの自分の考えをこいつに伝えてどうするかを決める。少しだけドキドキするがそれは俺が進むために必要なことだ。


「なぁ、桃華。やっぱり朝にやってたことはやめてくれないか」

「はぁ、またその話かい? だからそれは僕と付き合う為に我慢してくれって最初にも言ったじゃないか」


桃華はうんざりしたような表情で言ってのける。だけどここで引き下がったらいつものままなんだ。


「あぁ、俺もその条件を呑んだ。けどここまでとは思わなかったんだ」

「それは、しょうがないと思ってほしいな」

「だから、頼む。せめて俺の目の届く範囲ではやめてくれ」


 俺は最後に自分が提示出来る限界を示して頼んだ。



「君もしつこいな。そんなに嫌なら僕と別れるかい? 僕はどっちでも良いよ」

「……」


 けれどその思いは届かなかった。

 そして、思った。”どっちでも良い”。多分こいつの中では俺は居ても居なくても本当にどっちでも良いんだろう。

 なんだか、急激に冷めてきたな。


「なら、しょうがないか」

「それが嫌ならーー」

「別れよう」

「……え?」


桃華は驚いくような顔をした。初めて見る顔だな。まさか俺から別れようなんて言うなんて思わなかったのか? それは違う。俺だって言う時は言うんだ。


「このまま付き合っても俺はしんどいだけだ。だから、別れよう」

「え? 冗談かい?」

「いーや、本気だ」


 もう俺は決めた。多分このままだと俺の高校生活は何も楽しくない。ただ辛いだけだ。だから別れることにする。


「ふーん。言っとくけど後で復縁とかも無理だよ」

「別に良いよ」

「……あっそ。じゃあね」


そして桃華は背を向けて去っていく。俺は特に悲しくも辛くもなかった。それどころか晴れ晴れとした気分だ。


「ん〜! 良し、俺の青春はまだこれからだ!」


 体を伸ばし、携帯を取り出して、4人グループの中にメッセージを入れた。


『こっちからフッてやったぜ!』


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