第一の変化.1
季節は夏。街は日差しに照らされているのとは対象に影に落ちたビルの合間を男は息をきらしながら走っている。
男はしきりに後ろを振り返り追跡者の姿を確認していた。
何度も角を曲がり追跡者を撒いたと思っていたが長い直線道を走って50メートルは走った瞬間追跡者の姿が確認できた。
「ぜぇ……ぜぇ……くっそ!しつこいぞテメー!」
「しつこいのはテメーだ!さっさと諦めてマーカーを渡しやがれ!」
男は後ろを振り返り息も絶え絶えになりながら文句を言うものの、追跡者からの文句が返ってくるだけで変化はなく逃走を続けるしかなかった。
(キッつい!けど、走るペースあげるしかないか)
男は目的地に到着する前に追跡者を撒くべく、壁に立てかけてあった木材を崩し道を塞いで追跡者の妨害を行ったと同時に走るペースを上げ直線道を駆け抜けていく。
「このっ!まどろっこしいことしやがって!」
男は事前に把握していたマップを頭の中で思い浮かべ最短コースを駆け抜けていき目的地へと辿り着いた。
「ふぅ〜。ここまですれば大丈夫だろ」
男が辿り着いたのはビルに囲まれた行き止まりでここでマーカーの受け渡しをする手筈だった、全力疾走で震える足で壁際まで進み背にあずけ汗を拭い一呼吸をついたのも束の間男の耳に追跡者の声が入ってきた。
「ハァハァ……手間どらせやがって!けど残念だったなぁ、もう終いだ!」
追跡者は男が逃げられないよに道をふせぎながら胸ポケットからカードを取り出し顔の前にかざした。
その瞬間追跡者の身体からは肉が盛りあがりその姿は二本足で立つ人型のワニへと変貌を遂げた。
「ちっ、変異者かよ」
男は壁に預けていた背中を離し臨戦態勢で立ち上がった瞬間、男の目に影がフッとかかると2人の間に女が現れた。
「遠くから様子見てたらなに変な男をつれてきてんの集」
女は仲間である壁際の男、集に言葉をかけた。
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