序文
新しく始めます。
冒険だけするわけではない。
かつて、力ある者たちが世界にいた。
神、悪魔、竜、巨人、精霊、妖精、幻獣、異相存在・・・・・・
ありとあらゆる力ある者たちによって、世界は豊かになっていったが、力ある者たちにとって、世界は狭すぎた。
争いが起きるが、種は違えど、その力は同格であり、勝者も敗者もない、滅ぼし合いになる。
滅亡を避けるためには、争わないようにしなければならないが、そうすると住める場所がなくなる。
そして、力ある存在は、同種同士で集まり、自らの種にとって最も過ごしやすい世界を作り上げ、移り住むことにした。
かくて、世界から『力ある者たち』は消え、彼らは『力ある隣人たち』となった。
それから長い時間が過ぎ、残された世界には人類が生まれ、繁栄していた。
だが、世界には脅威があった。
モンスターと『異界』だ。
モンスターとは、力ある隣人たちが産み落とした眷属の成れの果てが、人類への脅威となったもの。
あるいは、『異界』の影響を受け、原生生物が変異してしまったもの、などを指す。
いずれも、人類にとって害をなすものであり、討伐対象だ。
かつての力ある者たちに由来するだけに、総じて危険度は高いが、人間たちは知恵と工夫を凝らし、勝てるようにしてきた。
討伐することで、その素材を手に入れ、その素材を使用して、様々なことに利用できる。
力ある隣人たちは、自らで作り上げた世界へと移り住んだが、故郷となる世界とのつながりを完全に絶ったわけではない。
そのつながりによって、世界に空間のねじれやずれが発生し、法則の乱れが生まれる。
そして、そこには、通常の空間とは異なる空間が出来上がる。
それが『異界』だ。
異界の中には、異形のモンスターがあふれ、人類にとっては脅威であった。
放置しても自然と消滅するものの、消滅する際には内部にいたものを全て外部へと吐き出してしまうため、その前に攻略し、内部のモンスターの間引きをする必要がある。
その際に手に入る、『異界の核』と呼ばれる品には、様々な効果があり、利用価値も高いため、内部にいるモンスターの素材と合わせて、冒険者の主な収入源となっている。
冒険者。
モンスターや異界の対応を一手に担う者たちだ。
武術や魔術を使い、依頼を受け、あるいは自ら望んで危地へと飛び込んでいく。
冒険者たちを管理するのは、冒険者協会。
冒険者ライセンスカードを発行し、冒険者たちを管理している。
とりあえずなっておけ、と言われるくらいに普及している。
この世界には、まだまだ冒険できる場所がある。
【用語説明】
・力ある隣人たち
神、悪魔、竜、巨人、精霊、妖精、幻獣、異相存在などの力ある存在。
世界を思うがままに操る力を有しているため、力ない人間では絶対に勝てない。
だが、自分たちにとって住みよい隣の世界に移り済んだため、基本的には世界に干渉してこない。
人間の側から呼びかけ、その力の一部を借りる召喚などは存在するが、彼ら自身と直接見えて交渉を行うことは、まず不可能。
・人間
いつの間にか世界に生えた種族。
力ある隣人たちが世界にいたころから細々と暮らしていたが、力ある隣人たちが移り住んでから一気に反映した。
力ある隣人たちの中には、彼らとの間に子をなしている場合があり、その末裔も人間の中でいくつかの種族として繁栄している。