7.事の顛末を-レイリア、着替え着替え-
全48話予定です
日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)
「レイリア、俺から話そうか?」
「……お願いします、隊長」
レイリアがカズを推す。
「ああ、行って来たよ。んで、さんざんっぱら怒られたよ。[わが軍の最高秘密をあんなにしおって]ってさ。俺も一応フォローはしたんだけどね、無線の記録がしっかり残っててさ。嫌味にもその場で再生されて一部始終聞かされたよ。で、最後に[万が一にもないとは思うが、敵に拿捕される様なやむおえない場合は除き、今後はするな]ときつく怒られてきた、っていうのが顛末かな」
カズがかいつまんで話す。
「整備班のほうは? あんたも付いてったんでしょ?」
「ああ、ヤマニさんか。あの人、本当にいい人だよね。この職場には向かない位のいい人。なんたって口答えするレイリアにビンタかまして[他の隊員の事をもっと信頼しろ]って。しかも二回も」
「回数はいいですぅ」
隣で着替えながらレイリアがむくれた声を出す。
「それで、戦況については? 司令部からの事前情報だと、最終的に一個大隊っていう点では確かに間違いではなかったけど、敵が分散していたなんて聞いてないわよ」
「それな、隠れるのには確かに新型のシートが使われていたみたいだけど、今までの戦い方とは違う気がするんだよな」
とカズが言うと、
「そうそう、今まではドーンとひとカタマリになっていて、ただ主砲をぶっ放すだけだったのに」
「そうですね、初めに倒した車両もいつもより発射回数が多かったですし、動きもいつもより分散していたような気がします」
その話題にクリスも賛同する。
「あたしは突っ込んでいっただけだから、あんまり詳しくは分かんないけど、言われてみればいつもとは違ったかも」
レイリアも同調する。
「で、その辺を話そうとしたんだが……」
「自分たちの汚点には目をつむれ、と」
トリシャが察すると、
「その通り。まぁ、情報がずれていたのとレイリアのリミッター解除で帳消し、ってところかな。それ以上は藪蛇だし。ただ、確実に戦い方が変わったのは事実だ。それは司令部も認識してくれたよ。[レイドライバーの情報が少しずつ相手に伝わっているのかもしれない、くれぐれも情報の流出には留意するように]だってさ」
と締めくくる。
「まっ、その様子だと他には特に情報もないようだし」
そう言いながら椅子から立ち上がるトリシャに、
「トリシャさん、このあとご飯でも一緒にどうですか? もしならお茶だけでも」
とクリスが誘うが、
「遠慮しとくわ。お気持ちだけ」
「そうですか……」
「あ、あたしは行くよ。お腹すいたもん、それに久しぶりだし。二人とも帰ってきてからも報告とかあってなかなか一緒になれなかったし」
フォローのつもりなのだろう、少し口ごもりながらレイリアが続ける。
「そうですね、わかりました。ちなみに、別の機会にまた誘ってもよろしいでしょうか?」
とクリスが聞くと、
「ええ、またの機会にね」
とだけ答え、手を上げながら背を向けて部屋から出て行った。
クリスは明らかに沈んでいるように見える。それはそうだろう、普段からみんなの調整役をかって出ている彼女だ。しかも機会があれば度々誘っているのだが、それをことごとく断られている。流石に[またか]となりかねない。
でも、また今度誘っていいか聞いているあたりは、まだめげないつもりなのだろう。
「んじゃあ、着替えも済んだ事だし、ちょっと遅めのランチにでも行こうか。って、レイリアは?」
とカーテンを開けたところで、
「待って待って、あたしまだだから!」
まだ下着姿のレイリアが服を抱きしめながら慌てて飛び出してくる。
「レイリア、着替え着替え、下着下着、ちゃんと待ってるから」
カズとクリスが同時に突っ込んだ。
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