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14.誰がお前らなんかに-話すから勘弁してくれ-

全48話予定です


日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)

「誰がお前らなんかに……」


 まだ意地を張る気らしい。


 カズは[はぁ]とため息を一つつき、


「んじゃ、始めようか。きみ、見るところによると右利きだよね? という事は右足からだ。腕の方はまだ拘束されているからね、変に切って暴れられても困るし」


 よく観察していれば、足の置き方、腰の掛け方で利き腕が分かる。だがそうとう観察力がないとこの短時間では難しいだろう。だが、カズはそれをやってのけたのだ。カズの特技の一つである。


 どうやらカズは本気でやるようだ。いつもよりうれしそうな口調のカズがそこにいる。その姿、特に表情は狂気に満ちているとも言えそうだ。とても嬉しそうな顔をしながらそのまま捕虜の足にハンドソーを[チュイーン]とやりながら近づけていく。


「やめ、やっ、止めろ!」


 叫ぶが、カズの手は止まらない。相手も本気なのが分かったようで、ズボンのところまで刃が来たところで漏らしてしまった。そしてついに捕虜の足のズボンを切断し始め、中の足に到達するかしないかのところで、


「わっ、分かった、すべて話す! 話すから勘弁してくれ!」


 ついに折れたのだ。


 だが、


「よろしい。ではこのまま聞こうじゃあないか。もちろん、嘘か本当かのジャッジは俺がするからね。もし嘘をついているようなら……」


 一度スイッチを切ったハンドソーのスイッチに手をやる。


「分かった、分かった。決して嘘は言わないから、言わないと誓うからそれだけは勘弁してくれ」


「じゃあ話そうか? まずきみのいた部隊の話からだ」


 素に帰ったカズが話を進める。


 聞いたところでは、彼はあの戦車隊の正面で囮役をやっていたそうである。両翼のが本体で間違いないそうだ。そして、レイドライバーという名前、それから背中がウィークポイントである事、同盟軍にはまだ四体しかいない事などが判明した。どうやら両翼に展開していた主力がレイドライバーのせん滅にあたる予定だったらしい。


 前回の戦闘で主力はほぼ壊滅してしまったので、残存勢力を北東の町ミラール市まで後退させ、そこで再結成をするという事、レイドライバーのせん滅、ないしは数の削減に全力をもって当たる事なども教えてくれた。


「俺が知るのは、それだけだ。本当だ、頼む、勘弁してくれ」


 すっかり戦意をなくした彼を見てカズは[ふむ]と一言発したあと、


「捕虜がズボンを汚してしまったようだ。代えのー、そうだな、捕虜用の服があるはずだ。それに着替えさせて独房に放り込んでおけ。あっ、ただし」


 そう言ったかと思うとカズは、


「両手、両足は縛っておけ。身動きできないようにね。食事と排泄は誰かに手伝わせて。決して動けないようにしておいて」


 ――これくらいの事しないと。まぁ、八つ当たりなんだけどさ。


 カズは返す足で司令部に赴いた。


「失礼します」


 ノックと同時に声をかけると、


「入りたまえ」


 と返事があるので、そのまま[失礼します]と入っていく。


「どうだったね?」


「やはり予想していた通り、レイドライバーの情報が漏れています。呼称や背中の事も、機体数が四体である事も漏れていました。ですが」


 とまで続けたカズの声を、


「コアユニットの事までは漏れていない、と」


 司令が続ける。


「はっ。おそらく、ヤマニ主任と医療班の主任以外の整備士の誰かか、と。そのうえで、申し上げますが」


 レイドライバーのコアユニットの分解整備には、総司令と副司令、ヤマニ主任、それにカズと医療班の主任、この五人しか立ち会う事は出来ない。それは、いくら長年勤めていても変わる事はない。逆に言うと、コアユニットの分解整備の際は、予定を合わせるにしてもわざわざそれだけの人間が立ち会うのだ。


「常に見張りはつけてある。怪しい動きがあれば情報が上がってくるはずだが」


「それに関しまして、実は一人怪しいのがおりまして」


 何か、情報があるのかカズが言う。


「ほう、それは?」


「実は……」


全48話予定です


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