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１．人型兵器－戦況を一変したもの－

全４８話です

ここから読んでももちろん話は通じますが、もう一つの並行世界線という事でヒューマンシリーズを寄稿しています（完結済みです）

もしよければこちらも読んで頂けるととても嬉しいです！

ヒューマン 1 -繰り返される事件と繰り返す時間遡行-

https://ncode.syosetu.com/n2996hx/

ヒューマン 2 -再び繰り返される事件と再び繰り返す時間遡行-

https://ncode.syosetu.com/n8320hy/

【R-18】ヒューマン 3 －時間遡行によってもたらされたものは－

https://novel18.syosetu.com/n2786ia/

「これで最後かなっと、ねぇみんな？」

　人型兵器のパイロットが、ここを陣取って死守していたであろう戦車をあっさりと手持ちのマシンガンのような武器で破壊しながら他の兵士に言う。その声はまだ幼さの残る、女性というよりはちょうど女性と女の子の中間、そんな声だ。

　辺りを見回せば、戦況は一方的だった。かたや三十輌はいるであろう戦車群部隊と、前述の人型兵器が三体。

　人型兵器の外見は、というと、身長はおよそ八メートル位であろうか。戦車と比較しても極端に大きいという訳ではないが、決して小さくはない。先程の武装は、マシンガンの形をしてはいるが、至近距離とはいえ戦車の装甲をあっさり抜いているあたり、相当破壊力があろう事は想像に難くない。

　次にその動きであるが、昔のいわゆる［ロボットもの］とは似ても似つかないほど人間的、と言うべきか。とにかく滑らかに動くのだ。走る姿も、銃を撃つ姿勢も［しなるように］という言い方が適切であろうか、まるで生身の人間がそこを走っているかのような動きをしているのだ。もちろん、中に人が入って操縦しているのだろうが、パイロットと人型の間にあるインターフェースは、さぞかし高性能で優秀なものであろう。

　戦況はといえば、数では圧倒的に戦車部隊の優位であるが、問題は性能差である。戦車が狙いを定めて砲身を動かしている間に人型兵器が至近距離で銃撃するのだ。いくら厚い装甲を持っている戦車とはいえ、この距離の射撃では無力にも風穴をあけられてしまうのは仕方のない事だろう。

　どうやらその人型は腕力、脚力ともに優れているようで、戦車部隊の何台かはいともたやすくひっくり返されて身動きの取れない状態になっていた。それを、ひと段落ついたのであろう他の人型が無慈悲にも腹ばいにされたそれらの、ちょうど動力系があるであろう部分に弾丸を食らわせて破壊して回っている。

「確かに、そいつで［まともに動く］のは最後だけど、ちょっと先行しすぎじゃあないかな、ゼロワンは。もう少し連携ってものを考えてから行動してよ、ね」

　少しの間のあと、別のパイロットからインカムに返事が返って来る。これも同年代くらいだろうか、同じく女の子の声がした。と同時に、ちょうど先ほどの人型の後ろで大破しているように見えた戦車が動いたが、その瞬間爆発する。

　どうやら人型の陣営にはスナイパーがいるようだ。だが、一撃でこの破壊の仕方を見れば、射撃を行ったのも同じ人型だろう。さらに言えば、弾丸は貫通性、爆破性共に備わったものを使用しているようだ。

　しかし［終わった］といっても戦闘が終了した訳ではない。それこそ破壊して、出来ないものはひっくり返して［はい終わりです］とはいかない。だからこそ、手の空いている人型が無力化して回っているのだから。

　そして、先程のように油断が生まれるのだ。

　その為のスナイパーであろう。戦況を俯瞰して見ていて、一番［アタリの弱いところ］をサポートする。まぁ、もっとも味方が敵陣に乗り込む前に狙撃するのももちろん仕事のうちだろうが。

「そうですよ、ゼロワン。ちゃんと周りを見てから行動するようにしないと。幾らレイドライバーの戦力が圧倒的だとはいえ、いささか突っ込みすぎるのでは？」

　おとなしそうに話す、別の女性パイロットが乗っているであろう機体が、同じくゼロワンと呼ばれたその機体に右側面で砲身をこちらに向けている戦車を破壊する。

　三人とも同期の子なのだろうか、おそらくは、まだ十代といったところか。