表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポニーテールの勇者様  作者: 相葉和
44/206

044 魔石の精製

魔石採掘日の初日。

予定通り、採掘組は所定の採掘現場に向かい、わたしとエスカとディーネは魔道具の加工場所に向かった。

エスカは魔石の入った大袋を台車に載せて運んでいる。

これは船から持ち出して馬車で運んできたものだ。


ディーネが物珍しいのか、すれ違う人達に奇異な目で見られるが、わたしは気にしない。


ディーネちゃんの素敵な姿に見惚れるといいよ!


エスカに案内されて歩くこと数分、すぐに加工場所に到着した。宿から近場なのはありがたい。


「小屋ですね」

「小屋だよ」


加工場所は、下町の工場よりも少し小さめの建屋、という印象だ。

平屋の一軒家で、やや天井は高そうだ。

側面にある大きな扉がなければ、貸別荘と言われても違和感がなかったかもしれない。

この、搬入・搬出用と思われる大きな扉があるため、工場やガレージという印象の方が強い。


エスカが預かってきた鍵で小屋の扉を開け、中に入る。

作業小屋の中はまさに下町の工場という感じで、作業台や工具、何に使うかよくわからない魔道具と思われる装置などがある。

設備はそれなりに整っているようだ。

なお、この作業小屋は、作業期間中ずっと、わたし達だけで使って良いらしい。


「こういう、グループ単独で占有できる建屋のほかに、もっと広くて大きい、他のグループと共同で使える施設もあるんだけど、あたしらが作るものがちょっとアレなので、あまり人に見られたく無いからね」


ちなみに共同施設は割安らしい。

貸切ができる作業小屋はお高めだが、知らない人に邪魔をされないし、技術を盗まれたりもしない。

閉館時間も無いので、好きな時間に好きなだけ使用できるというメリットもあるそうだ。


また、小屋には鍵をかけられるので、小屋を借りている期間中はそのまま物を置いておくこともできる。

貴重品はなるべく持ち帰るけどね。


早速エスカが作業台の上に、持ってきた魔石をジャラジャラと広げる。

さまざまな色の魔石がある。

複雑な模様の魔石もある。


エスカは作業台に出した魔石を選り分け、いくつかの山にした。

だいたい色の違いで分けたようだ。


魔石の山を作り終えたエスカがわたしに向き直る。


「ユリに最初にお願いしたいのは、この魔石から、雑多な魔力を追い出してほしいの」

「魔力を追い出す、ですか」

「そそ。出来るだけひとつの属性に寄せた魔石にしてほしいんだ。属性の偏りでざっくりと分けておいたので、魔石に含まれている属性の中で、一番多い属性だけを残して、他の属性は抜いて欲しいんだけど・・・ディーネちゃん、やり方は知ってる?」

「うむ。任せよ」

「ではお願いね!」


説明それだけ!?

まあ、ディーネちゃんが知ってるならいいか。


エスカは別の作業に取り掛かるようだ。

わたしはわたしの役目をやることにする。


「ディーネちゃん。やり方を教えてくれる?」

「うむ。では、やりやすそうなものから始めようかの。その青系の石の山を使うのじゃ」


わたしは青系の石の山をぞぞっと手前に持ってくる。作業台のそばに椅子を持ってきて、石の山の前に座る。


「青系は、水の属性の魔力を多く含んでおる。ユリは水の魔力には慣れておろう?」

「まあ、むしろ他の属性はよく分からないね」


ディーネが器用に羽根を使って、青くてくすんだ色の魔石を山から一つ転がし、ディーネの目の前に置いた。

ハシビロコウが石遊びをしているようで、とてもかわいい。


「まず、魔石を探るような感覚で、魔石に魔力を少し流し、魔石からの魔力の反発を感じよ。最も多いと感じる魔力の属性を感覚で見るのじゃ。そして、違うと感じる魔力の属性があれば、弾き飛ばすように魔力をぶつけるのじゃ」


弾き飛ばす、ね。

今までずっと練習していた、魔石に魔力を流すのとは違う感じ?


「船で魔力の使い方を練習してた時は、アドル達に借りた魔石に魔力を流したり、船の動力に魔力を充填したりしていたでしょう?あれとは違うの?」

「あれは、魔石に魔力を流して、魔石そのものを活性化させるというものじゃ。今回は、魔石の中に魔力を充填するのではなく、魔石の中にある属性を探り、見つけたらそれを弾き飛ばす感覚じゃ。充填ではない」


言葉の意味はなんとなく分かった。

だが、できるとは言っていない。


ひとまず、ディーネが実践して見せてくれる事になった。

羽根で魔石をチョンと触る。

やはり仕草がかわいい。たまらない。


「では、見ているのじゃ」


しばらくすると、魔石の色が鮮やかな青色になる。


「このぐらいで良かろう。多少、他の属性の魔力が残るのは仕方がない。慣れてくれば純度も上がる」

「なるほど。とりあえずやってみる」


とにかく実践あるのみだ。

わたしもくすんだ青色の魔石を取り、目を瞑って魔石に触れる。

石の中を探るイメージで魔力を軽く流す。


魔石からの反発を感じる。

一番多いのはこの属性の魔力・・・

使い慣れている水の属性だ。

これ以外の魔力は、弾き飛ばす・・・


むむっと力を込め、感覚だけを頼りに魔力の選別をする。

そして、いらないと思う属性の魔力に、おはじきを指先で飛ばしてぶつけるような感じで、わたしの魔力をペシペシとぶつけるイメージをする。


大体できたかな、と思って目を開ける。

目の前に真っ青な魔石が出来上がっていた。


「おおお、できたよ、ディーネちゃん!」

「うむ・・・できてはおるな。初めてにしては純度も高い。ただ・・・」


ディーネの歯切れが悪い。

何か煮え切らない点があるようだ。


わたしがいきなり上手にできたので面白くないとか?

いや、ディーネちゃんはそんな子じゃない。


「ユリよ。この魔石で試してみるが良い」


ディーネが別の山から、赤い色の魔石を転がしてきた。

同じように魔力を流して、雑多な魔力を排除してみる。


出来上がったのは、紫色に近い魔石だった。


「あれ?なんで?」

「やはり。思った通りじゃ」


ディーネは何かに気がついていたらしい。

理由をお聞かせいただこう。


「ユリよ。雑多な属性の魔力を弾き飛ばす際の魔力が強すぎたのじゃ。ユリの魔力は水の魔力じゃから、水の魔力が石に残ったのじゃな」

「ぐぬぬー。なるほど」


つまり、一の魔力を弾き飛ばすために二の魔力をぶつけてしまったため、余計な一が残った、という事か。

加減が大事だね。


「多少、別の属性の魔力が残ってしまうのは構わぬゆえ、優しく弾き飛ばすと良い」

「分かった。やってみるね。アドバイスありがとう!」

「うむ。礼には及ばんよ」


とりあえず加減を覚えるため、青系統の色の石ではなく、違う色が濃い石の山から片付けることにした。

青系統は水の属性だから、手加減なしでバシバシやれば良いだけだし。


何度もやるうちに慣れ、そこそこ上手くなってきた。

速度も上がり、順調に魔石の在庫を片付ける。


ディーネも手伝ってくれて、お昼の鐘が鳴る頃には、作業台に出ていた石は全て精製済みとなった。


「・・・ユリちゃん?もしかして、これ全部終わったの?」

「はい。終わりましたよ」


エスカは自分の作業に一区切りをつけ、わたしをお昼ご飯に誘いにきたのだが、精製が終わっている石の山を見て驚いていた。


急なちゃん付けにわたしも驚いているけど。

わたし、また何かやらかした?


「・・・確かに、雑多な魔力は抜けているわ。品質も十分すぎるわ」

「という事は、問題なしですね。良かった!」

「問題ないけど、ある意味問題というか・・・」


エスカは何か煮え切らない点があるようだ。

ディーネに続き、またこの展開ですか?

よろしい。話を聞こう。


「この作業、明日中くらいまでかかると思っていたの。魔力豊富で、作業に慣れている人でも、丸一日かかる量よ。ユリの非常識ぶりには驚かされっぱなしだわ。あはは・・・」


エスカが呆れた顔で笑った。


「あはは・・・」


この世界の普通なんて知らないですし。

比べたこともないですし。

わたしも笑うしかなかった。



0時に次話投稿します。

じわじわとですが、見てくださる方が増えてきたように思います。

レビュー、ブックマーク、評価、誤字指摘などいただけると大変励みになります。

よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ