九話 ちょっと意地悪をしました
九話 ちょっと意地悪をしました
「エスパーダ」
縛られたままで助けを呼べるのは電話で繋がっているエスパーダだけだ。
「縛られてカッコ悪い」
「マッチョ二人はキツいって」
「でも私を守ってくれたのは嬉しかった」
「うん」
「でも縛られたらおとなしくしすぎ。体当たりくらいしても良かったのに」
「暴れるとエスパーダがいると思われるんじゃないかって」
「ふうん、私は踏まれてんのが気持ち良いのかと思ってた」
「そんなわけないじゃんか。ねえこれほどいてくれない?」
「どうしようかな」
声が笑ってる。
要に不安がよぎった。ほっとかれるのではないかという不安が。
「今度コラボ企画があって課金しないといけないんだけど」
課金は必須らしい。いや、それよりも要を助けるのにお金を要求するとは。
「エスパーダ……」
「あいつら追っ払うのに弾丸使ったんだから、その分埋め合わせしてよ。防衛はタダじゃないから」
確かに撃たなかったら追っ払えなかった。弾丸の費用は分からないが、課金額よりは高いのだろう。エスパーダも変なところで気を遣う。
「分かった。だから助けて」
甘えるように言ってみた。
「キモっ」
不評だった。