最終話 ギルドメンバーが増えました
最終話 ギルドメンバーが増えました
あれ以来、園田得と弟達は要の家に来なかった。
得はすぐに新しいスマホを買ったようだが、想が言うには弟達との悪巧みは一切なかったそうだ。
ただ、弟達が途中でいなくなったことをネタに喧嘩して以来、連絡を取り合っていないらしい。当然動画配信も出来ず、あらぬことを配信される心配も消えた。
「家でゴロゴロしながらゲーム出来るって最高ね」
要のテーブルの上に敷いたクッションの上に横たわりながら、エスパーダはゲームをしている。フィギュアの側で、同じパジャマを着て。
あの後エスパーダもしばらくは警戒していたが、何も起こらないことに慣れて、いつものだらけた感じに戻っていた。シリアスな時との落差が激しいなと思いつつ、要はエスパーダへ声をかける。
「それでコラボキャラは出たの?」
「まぁね。日頃の行いの良さかしら」
要の金で引いたキャラなのだから、嘘でもありがとうとか言って欲しい。
恨みがましく見ていると、視線に気付いたエスパーダが手を止めた。
「ありがとうね」
「え?」
「言って欲しそうな顔してた。でも私も言ってもらってないよ。助けてくれてありがとうって」
確かに言っていない。
「ありがとう、エスパーダ」
「よし」
頷い笑顔になったエスパーダは再びゲームに視線を戻した。
要もゲームをすることにした。ギルドのメニュー画面を見るとエスパーダ、要、サイズ、想、都の他にもう一人増えていた。マリという名前が。その名前は最近聞いたことがあった。
「エスパーダ、このマリって……」
「ああ、あの風呂場の子だよ」
「いつから?」
「ここに来た翌日くらいかな。下手に出てるからまあ受け入れてやった」
「大丈夫なの?」
要としては、下手に心を許してSNSとかにエスパーダの情報や画像が流出するのを心配している。
「大丈夫。要は心配症なんだから。想に頼んでスマホをどうにか出来るし、私はいつでもあの子を殺せる」
自信満々に言うので、要は怖くなった。エスパーダは要もいつでも殺せるって思いながら接しているのかと。




