手に入れたもの
更新遅れてしまって申し訳ない
これから2〜3日に1話のペースで更新するつもりです
あれから一週間がたった。相変わらず世界に回復の兆しもなく、自衛隊などが動いている気配もない。まだ使えるラジオを見つけたが放送している局も当然なかった
「"永太くん"、ここもそろそろダメかもね」
「そうだな"コノカ"、もうどこ探しても食べ物ないわ」
現在永太とコノカは居場所を点々としながら食料がある場所へといけばそこに居座り無くなったら別の場所に行くということを繰り返していた
「それに最近奴らが近づいてる、ここも時間の問題だろ」
この一週間でゾンビに対しわかったこと。それは奴らは何があっても動き続けるってことだけ
体から切り離された一部だろうが、原型を留めていない肉片になろうが奴らは動き続ける
そんな奴らの対処法は今のところ体をバラバラにして動いていたとしても体に侵入さえされなければ平気なぐらい小さくする事ぐらいだ
いくら動き続けるといっても指の先だけになれば見た目怖いだけで無害といってもいいぐらいなのだから。まあ一対二だとしても永太達にそのような事出来ないのだが
さらに二週間後
「ねえ、永太くん、私たちって"アダム"と"イブ"になれるかな?」
コノカがいきなりとんでもないことを言ってきた
「え?!コノカ、、それって、、」
「い、いや違うの永太くん!その、あの、、、」
言っていて恥ずかしくなったのかどんどん声が小さくなっていくコノカ
永太もその意味がわかってかおどおどする
こんな質問をしてくるなんてついに頭がどうかしたか本気かのどちらかなのだろう
まあでも状況的に考えて
「無理じゃないか?食料も無ければ安全な環境すらないんだし、養う力がなぁ、俺らだって生きるにはギリギリすぎる生活送ってるしな」
永太だって純粋な男子高校生。彼女のことをそういう目で見たことないといえば嘘になる。しかし生き抜くので精一杯な日々で手を出すというのはすこし無理な話なのだ
「そ、そうだよね、、、無理、だよね、そういうことじゃないのに.....」
どこか残念そうにボソボソと呟く、最後の一言は誰にも聞こえないくらい小さい声だった
さらに1ヶ月後
「もうこの街も漁るもん無くなってきたな」
「うーん、そろそろ大移動しなきゃだね」
永太達が今後の方針を決めてるその時だった
ばらばらばらばらととても自然とは思えないような音が響き渡る
ギョっとしながらも何処かで聞いたことがあるようなその音の正体を知るために自然に"空"を見た
そこで見つけたのは....
黒い塊が飛んでいる、と一瞬思ったがすぐにその正体に気づく
「ヘリ...コプター、、、」
「え、、うそ...」
見てからの行動は早かった。すぐに一番近い建物へと駆け出す永太達
ヘリもそれに気づいたのかその建物の上空でホバリングしていた。着陸しないのはこの建物がいつ崩れるかわからないようなボロボロな状態だからだろう
やがて屋上に出た永太達とヘリから人が降りてくるのは同時だった
「こりゃ驚いた、こんなところに二人も生き残った人がいるなんてなあ」
自衛隊の隊員のような人が渋い顔をしながら話しかけてくる
それを不自然に思った永太だが特に聞くでもなく話を始めた
「自衛隊の人、、ですか?」
コノカが微かな希望を、込めて尋ねる
「ああ、俺は自衛隊だ、今は生存者保護のためいろんなところを飛び回ってる。まあここまできたのは初めてだったがな」
そうなのかーと思いながら話を聞く永太
「その〜、生き残ってるのはお前らだけか?それともまだいるのか?」
「生き残ってるのは...多分俺らだけです。ここ2ヶ月ここで生き残ってましたがほかの生存者は見たことないです」
その言葉を聞いてか自衛隊の人がさらに辛そうな顔をしたのがわかった
永太はヘリを見上げた、近くで見るとそのデカさがさらにわかった。前にテレビでやっていた羽が四方についてるヘリに似ている
その中から人が顔を出しているのがわかった
「?!」
なぜ自衛隊の人があんな顔をしていたのか
ヘリから顔を出している人の表情が、そしてヘリの中をよく見て、わかってしまった
コノカはまだ気づいていないだろう
「どれくらいの人が生き残ってるのですか?」
素朴な疑問でもあったが
「ん?、ああ、俺も詳しくは把握してないのだが俺がいる保護区でも二万人。一番多いところだと600万人って言われてるな」
「そっ!?、そんなに、、」
それは衝撃だった。なんせ自分の周りには人などまったく生き残ってなかったのだから、まあここが救助されるのざ遅かったってのもあるとと思うが
しかし、なら安心だ
「これで助かるなコノカ!」
「え?、うん!そうだね永太くん」
そうこう話しているうち自衛隊の人がまた降りてきた
「そろそろ燃料がやばい、急いでくれ」
「あ、ああすまない」
降りてきた方の自衛隊が何をそんなに戸惑っている?という顔をして永太達の方を見て納得する。そしてその自衛隊の人も同じく苦い顔をした
「あのことは、、、」
「まだ言ってないんだ....」
永太は自分の中にあるもしもを確信に変えるためにコノカに聞かれないところまで自衛隊の一人を連れて行きもしもを話した
「あのヘリって乗れるのはあと....」
自分で言っておいて怖くなったのかどんどん声が小さくなってゆく
「ああ、気づいていたのか少年...すまない、本当にすまない。あのヘリに乗れるのはあと一人、最初ここに降りてきたのも一人しかいないと思ってのことなんだ」
「やっぱり....」
それからすこし話した永太はコノカの元へと戻る
「自衛隊の人と何の話してたの?」
「!?いや、、なんでもない、ただ食料のこととか、、な」
「へえー」
「そ、そうだ、はやくヘリ乗ろうぜ!、ほら先乗れよ」
「え?、う、うん。まあ乗るけど」
なんとかコノカを先にそせるように誘導する
自衛隊の人がコノカにロープみたいなのとかつけてヘリまで引き上げていった
それと同時にさっき話した自衛隊の人がまたヘリから降りてきた
「少年、これを、」
「これは、、」
それは食料だった
「このくらいしか出来なくて本当にすまない」
「いいんですよ」
もう一度深々と礼をする自衛隊の人
そしてなかなか登ってこなくて不審に思ったのかコノカがヘリから顔を出してこっちを見ていた
「永太くん、このヘリ...」
そこまでいいかけたコノカを遮るかのようにヘリが駆動音を響かせた
「?!ちょ、ちょっと!まだ、永太くんが!どうして!?」
まだ永太が乗ってないのにも関わらずもう飛び立とうとしたヘリに驚き大きな声を出すコノカ
「コノカ、また会えるさ、あっちで会おう!」
それにヘリの音に負けないくらいの大きな声で返す永太
「なんで!待ってよ、降ろして、永太くんが行かないなら私も...」
飛び降りようとしたコノカを自衛隊の人が危なげに止める。
もしあのまま落ちたら死んでたぞ....
「やだ!嫌だよ、永太くん!」
その言葉を最後にコノカの声は聞こえなくなった。ヘリの音に負けたのか、それとも距離が出来たのか
まだヘリが見えるくらい遠くに行った時ヘリから何かが投げ出されたのがわかった
それはひらひらと空を舞ったあと永太のすぐ目の前へと舞い落ちた
それはとても使い古されてもうだいぶボロボロになっている赤いリボンだった。ところところ糸がほつれたりしている。しかしこれが誰のかはすぐにわかった。この2ヶ月。あの日からずっと一緒にいてずっと見てきたコノカの髪を縛っていたリボンだ。
それを大事そうにしまうと永太は深いため息をした、
そして建物を出るために歩き出す。
『生き残るために』
ひと区切り付きました
そろそろあれを出さないとこのまだとタグ詐欺、タイトル詐欺ですね(汗