スサノオとツクヨミ
√東方竜人卿、そう言ったはずなのにまさかの2連続でこいつを投稿するとは…
「いや~、すまんかったな。」
そういって、ぼさぼさの頭をかく筋肉質の男は、スサノオノミコト。
日本神話に登場する海の神だ。
「申し訳ない。この一杯で勘弁してもらえないだろうか。」
そういいながら、コーヒーを差し出す小柄で物静かな雰囲気の男は、ツクヨミノミコト。
月をつかさどる神だ。
「えっと、日本神話に出てくるもっとも有名な神といっても
過言ではないこの二柱がなぜ、ロンドンに?」
「「そこからなの?」」
さすが兄弟、息ぴったりだ。
「なんというか、話し方がそれっぽいなあと思ったもので。」
「近頃の日本人は適応能力が高いの。」
そんな事を、ツクヨミは感心したようにつぶやいた。
「というか本来、本当に神様なのか、というところからだろうに。」
とスサノオ。
「そんなことはどうでもいいので、どうして日本神話に出てくる、神様二人がロンドンなんかで、喫茶店を開いているんですか?」
「こんな肝の太い、女子は、久々に見たわい。」
「まぁ、我々がロンドンに来た経緯を話していないのもまた事実。であれば話すしかあるまい。」
そんな事を言いながら二人は語り始めた。
「あれは戦国時代。」
「江戸じゃなかったか?」
「うるさい。」
「ともかく、おぬしの曽祖父が生まれるよりずっと前じゃ。私たち二人は、高天原でなんと言うか、やらかしたのじゃ。今から考えれば、すべてアマテラスの仕組んだわなだったのかもしれん。高天原で、宴が開かれたときじゃ。その日は、われらの父、イザナギの生誕日であった。そこで、私たちは、初めてみてしまったのじゃ。」
「天岩戸のときに会っているはずだが、ふたりとも、はしゃぎすぎて、酒に酔ってそのまま、寝てて奴の踊りは終わり、気がついたら、周りが煌々と光ってたんだよな。」
「あの、『奴』って誰ですか?」
「アメノウズメのことだ。天岩戸のとき以来、アマテラスのお気に入りになってな。そのアメノウズメを宴で披露したのじゃ。」
「アメノウズメの美しさは神々の中では一、二を争う。
そして、俺ら二人はアメノウズメの虜になってしまったというわけだ。
そして、あまりにも美しすぎたせいで、俺らはアメノウズメの酌を要求したわけだ。アメノウズメは拒否したが、俺らはつい我慢できなくなって、強制しちまったってわけだ。」
「わたしは、強制などはしていない。しかし、それを知ったアマテラスは、怒り狂い、私たちから海と月の管理権を奪い、ここロンドンに喫茶店を構える許可を得たわけだ。そこからはや500年近く、私たちはここで、店を構えていると言うわけだ。」
「ほえ~、すごいんですね。」
今から400年まえというと、ちょうどイギリスで、「ピューリタン革命」があったころだ。
そんな時代から、ここにいたのか。
「あの!」
「「ん?」」
「私に何かできることってありますか?」
「「いや、むりだな。」」
断定されてしまった。
「神々の問題は、神々でしか解決することができない。」
「前、協力しようとした、イギリス人は、たしか消し炭にされた。」
「け、消し炭!?」
「そうだ、だから貴殿にできることは何もないだろう。」
「そうですか…なら!」
「「ん?」」
「これからも毎日ここに来ていいですか?」
すると、二人はにこりと笑ってこういった。
「だったら、昼時に来い。ツクヨミが何か作ってくれるぞ。」
「そうだな。お昼なら、何か適当なものを作っておこう。」
こうして、ヒナの不思議な日常が始まった。
次の神様は誰が出てくるのかな?
他にもちょっとしたモンスター(?)が出て来たりするのでご期待。
ふふふ、まだ書きだめはあるのだよ!
正直、こっちが続き気になる。
もう忘れかけてたからね。