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プロローグ
深い緑の森の中、雲ひとつ無い空の下。二人の男女が歩いていた。
両者共に容姿は10代半ばといったところだ。
「疲れた」
女の方がそういい道脇にあった草原に寝転ぶ
「なに言ってんだよリズ! もう少し進むぞ」
と少女の名を呼び、男の方が刺々しい口調で訴える。
「進むってどこまで、ヘイル?」
リズは寝転び晴天の空を見上げながら問う。ヘイルと呼ばれたその少年は惑うことなく
「できる限りまで」
そう答えて起き上がる気配の無いリズにキツい視線を送り続ける
「何で? 行く当ては無いのに。」
その言葉にヘイルの表情は固まる。
「止まっちゃダメ?」
今度の問いにはすぐには答えられない。 暫く黙り込みリズと同じように空を眺める。
そして、視線を彼女に向け直す。
「進んだって何も無い。 けど止まりたくも無い。」
そう言ってまた黙り込む。
深い緑の森の中、雲ひとつ無い空の下で。