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「息子さんが、
(普通に生活しているみたいに、家の中で姿を見るんだよ。
多分、自分が死んだのわかってないんだろうな。
俺は見えないけど、なんか気配は感じる。
そういうこともあるんだろうけど、親父とお袋が、本当に嫌がるんだよなあ。)
って話してた。」
「そっかあ、何でなっちゃんに話したんだろうね。」
「たまたま、そこにいたからじゃないかな。それでね、その後息子さんが言ったんだ。(お袋が、あいつの顔がだんだん見えるようになってきた。初めのうちは、顔を伏せてたけど、最近口元が見えるようになってきたって言うんだよ)って。本当に困ったようにため息ついてた。」
「ふ~ん…。」
「そんな話を聞いても、返事のしようもないからそのままにしてたけど、今あの家息子さんだけだから、大丈夫かなって。」
「そうだね。」
「お嫁さんは、今はすっかり顔を上げてるのかなって。」
「ああ。」
「息子さんは、今でもお嫁さんが見えないのかなって思う。」
「そうだね…。」
「うん…。」
「…。」
私は、本当に幽霊が出てるのかどうなのかも分からない。
息子さんが、何でなっちゃんに話したのかのかも分からない。
本当に困っているのなら、私達のような子供より、ちゃんと大人に話すんじゃないかな。
なっちゃんだって、そんな話聞かされてもどうしようもないし、困るよね。
なんてことを考えて私は腹が立ってきた。
息子さんは友達でもなんでもないし、知らないし。
でも直接聞かされたなっちゃんは、気になるんだろうな…。
奥さんは、何がそんなに気になって幽霊になってるんだろう。
「奥さんは、何が心残りなんだろうね。」
「うん。」
「幽霊って、いつまで幽霊やってなきゃいけないんだろうね。」
「ふふっ、なんで?」
「だって、幽霊になるほどのことを思いながら死ぬのは嫌だなぁ。」
「ああ、そうね。」
「死んだら早く神様の所に行きたいよね。」
「莉央ちゃんは死んだら神様の所に行くの?」
「そう、早く神様の所に行ってしばらく休憩させてもらうの。」
「休憩?」
「そう、しばらく休憩させてもらって元気が出たら、また生まれ変わるんだよ。」
「そうなんだ。」
「そう、また頑張って生きなきゃいけないから、その前に休憩、好きなだけ。」
「そうか、夏休みだね。」
「そう、宿題はないやつね。」