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夏休み  作者: ひの
7/10

7

昼からは、なっちゃんとなっちゃん家の近くの川に遊びに行った。

本当は遊泳禁止の川なので泳いではいけないのだが、私たちは魚捕りにきただけで泳いでません、というふりをしてTシャツと短パンの下にはしっかり水着を着ていた。

草むらの堤防を下りると、砂利の川岸に出る。

草履サンダルを履いたまま水に足を浸すとひんやり冷たい。

この川は山の湧き水が流れ込んでいるから、綺麗だし冷たいのだ。

もっと上流に行けば、鮎やヤマメも捕れるそうだが、ここら辺は、ドジョウ、時々ハヤも捕まえられる。

一応魚捕り網は持ってきているが、私はなんと言っても涼むのが目的で川岸に放り出している。

昼の太陽に照され水がギラギラ光っているが、木の影では川の流れがゆったりとして見える。

周りの木や草の色が水に映ってみどり川だ。

「なっちゃん、泳いでも大丈夫かな?」

「一応木の影で上からあんまり見えないようにしたら大丈夫だよ。」

さっそく水着になって深い所に行く。

「わっー、やっぱり冷たい。けど気持ちいいね。」

なっちゃんは網を持ってしばらく水面から川底を見張っていたが、魚が見つけられなかったようで諦めて同じく水着になって泳ぎだした。

川底まで潜って綺麗な石を探したり、どこまで潜水できるか息が続くまで競争して遊んだ。

底に潜って水面を見上げると光がキラキラ反射してとても綺麗だ。

木や草の緑が、額縁のように飾っている。

この景色は遠い昔に見たような気がする。

もっと深い水の底でキラキラする水面を眺めて長い間ひとりで過ごしていたような…。



しばらく泳いでから川岸に上がって休憩をした。

日の当たる所に座っているとどんどん体が乾いてくる。風が吹いて気持ちがいい。

「そういえばさ、あのお嫁さんの幽霊の話、おばあちゃんが、噂なだけでほんとじゃないって言ってたよ。おじいさんは入院しただけだって。」

なっちゃんに昨日のおばあちゃんとの会話を話す。

すると、なっちゃんが「違うよ。噂できいたんじゃない。息子さんから、直接聞いたんだよ。」と言った。




夏休み前に、町内で廃品回収が小学生を中心に行われ、お母さんが町内役員なので、なっちゃんもお手伝いに駆り出されたそうだ。

町内の廃品回収の時は、あの家の田んぼの先にある空き地にいったん置かせてもらうようになっているとのこと。

廃品回収も終わり、息子さんとなっちゃんが空き地の掃除をしていた時のことだ。

その時に息子さんが、ふと体を起こして家の方見ながら「うちの親父とお袋が見えるって言うんだよなあ。」と、呟くように言ったそうだ。

なっちゃんは、何のことだろうと思ったが、自分に話しかけられたのか確信が持てずに黙っていた。

そうしたら、息子さんがなっちゃんに、おじいさんとおばあさんが、お嫁さんの幽霊を家の中で見るという話をしたのだそうだ。

 

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