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夏休み  作者: ひの
6/10

6

翌朝、なっちゃんから電話で昼から川遊びに行こうとの誘いがあり、午前中は庭の草むしりと宿題をやっていた。

おばあちゃんも畑仕事が終わった後は、シルクスクリーンとかいう透けたふわふわのキレイな布で、お花の絵を作るとても根気のいる作業をしていた。

おばあちゃんの家は昔ながらの農家なので、家中の窓を開けていればとっても涼しい。

おばあちゃんの作った水出しアイスティーに、少し砂糖を入れて飲む。

水でゆっくり出すと、とても味がまろやかになるのだ。

本当はなにも入れないで飲むのが美味しいそうだが、私は砂糖を入れさせてもらう。

ちょっと入れただけで、すごく甘くなっていい香りがする。

おばあちゃんと休憩をしていると、なっちゃんから聞いたお嫁さんの幽霊を思い出した。

「おばあちゃん、奥の家幽霊出るって聞いたけど。」

ん?という感じで私の顔を見たおばあちゃんは

「聞いたって、なっちゃんからかね?」と言った。

「うん。お嫁さんの幽霊が出て、あそこのおじいさんおばあさんが家を出てったって。」

「何を馬鹿なことを。あそこの家のおじいさんが病気になったから病院に入ってて、おばあさんは看病でついてるだけ。」

「えっー、そうなの?なんか死んだはずのお嫁さんが、台所に立ってたり、洗面所で擦れ違ったりして昼も夜も出るって。」

「まあ、そんな噂が出てからに。とんでもない。」

「えっー、じゃあ違うの?」

「そんな話、あそこの家から一言も聞いてない。」

「あぁそうなんだ。噂かぁ。」

「噂よ。」

「噂ねぇ。」

「まぁ、お嫁さん亡くして気の毒なのに、そんな噂が。」

「そうだよね。若かったんだよね。」

「病気で何回も入退院繰り返して、とうとう亡くなって、あそこの家は大変だった。だからお父さんも体壊したんだろう。」

「そういえば、お嫁さん28歳だったんだよね。息子さんと年離れてない?息子さんいくつ?」

「さぁ、45位だったかねえ。」

「45?そんなに年離れてたの?」

「そうなものだったと思うけど。」

「いやぁ、いいねえ。そんな若いお嫁さん。」

「何を言っとるんね。」

「でもそんなに早く亡くすのは、悲しいね。」

「その通りいねえ。」

とふたりでしみじみとして、お昼にそうめんを茹でて食べた。

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