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おばあちゃん曰く、迷い道というのは昔からよくある話で、その道に深く入り込んでしまうと、もう帰って来られなくなる。
その道の浅い所にしか入ってないのなら、ほとんどは帰って来る。
おじいちゃんがその例だ。
山の中などの人気のない場所に、迷い道が開いていることが多いが、普通のいつも通っている道を歩いていても、入り込んでしまう時もある。
また家の中にいても入り込んでしまう人もいる。
「それって神隠し?」と聞く。
帰って来なかったらそう言うんだろう、とのこと。
しかし迷い道は神隠しよりもよくあることだと言う。
「私は迷い道なんて知らなかった。」と言うと今回迷い道に入ったではないか、とのこと。
でもこんなのは初めてだし…。
ほとんどの人はまぎれ込んでも、お父さんみたいに道に迷ったと思う。ただ、あんたの話を聞いていると相当深い所に入ったようだ。
迷い道に入り込む時は、たいていひとりだ。
ふたりというのはあまり聞いたことがない。
なにかの拍子に入ってしまったのだろうけれど、ひとりではなく、ふたりだったこと、それとあんたがおじいちゃんの話を思いだして、お供えしたのが良かったんだろう。おじいちゃんも守ってくれたんだろう。
「じゃあ、けっこう危なかったってこと?」
「そうだねぇ。」
「それなのにお父さんは呑気だねぇ。」
「まぁ、あの子はそういうところが鈍いからねぇ。」
「鈍いで済まされるの?」
「まあ、あんたがしっかりしてるから。」
そんなこともないけど、そうかな?