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家に帰るとおばあちゃんが夕飯を作っていた。
手を洗って手伝いをする。
きゅうりの糠漬けを糠から取り出すが、茄子もあるのを見つけておばあちゃんに茄子も食べたいと伝えていっしょに切る。
今日の夕飯はコロッケとキャベツ、豆腐とワカメの味噌汁、おばあちゃんの糠漬け、いか納豆。
おばあちゃんの漬物は大好物だ。
結局漬物のほとんどを自分で食べてしまった。
「あんたは年寄りの好きなものが好きだねぇ。」
とあきれられた。
食後の後片付けをしているおばあちゃんに、早く風呂に入れと言われ一番風呂をいただく。
ここの風呂は昔ながらの作りで、母屋から離れた渡り廊下の先にあり、裏庭になるが三方を庭に囲まれ風情がある。
薄暗いが窓を開ければ風が入り、ちょっとした旅館気分だ。(古いのに目をつむれば。)
この風呂は大のお気に入りである。
体と髪を洗って熱いお湯に入る。
昨日は疲れきっていたこともあり、ろくろく湯船にも入らなかった。
そう言えば、父は昨日風呂に入ったのだろうか。
今朝早くに帰ったようだが、迷わず帰られただろうか。
すっかり忘れていたが、電話でもすれば良かった。
湯船から上がりシャワーで冷水を浴びる。
ここの水は井戸水なので、夏は冷たく冬は温かいおばあちゃん自慢の水だ。
おばあちゃんに、風呂上がりに水を浴びると、風邪をひかないと教わって、それから続けている。
おかげでここ何年も風邪をひいていない。
それから風呂を上がりパジャマに着替える。
台所にいたおばあちゃんに「お風呂上がったよー。」と伝える。
おばあちゃんもお風呂に入り、風呂上がりにおばあちゃんはほうじ茶、私はおばあちゃんお手製の紫蘇ジュースを炭酸で割って飲む。
美味しい。
「おばあちゃん、私お父さんに電話するの忘れてた。ちゃんと帰れたかな?」
「あぁそうねぇ。電話してみなさい。」
「うん。」
もう8時すぎだったので仕事も終わっているはず、さっそく家に電話する。
母が電話に出て、ちゃんとおばあちゃんの言い付け通りにしなさい、宿題しなさいよ。ちょっとおばあちゃんに代わって等、自分の言いたいことを言っていて、こっちの話は聞きやしない。
とりあえずおばあちゃんに電話を代わる。
父は昨日の到着が遅れたことを話していないようだ。
おばあちゃんから、お母さんがもう一度電話代わってって言ってるよ。と受話器を渡される。
「じゃあね、おばあちゃんにあんたのことお願いしたから、よく言うこと聞いてね。」
と電話を切りそうになるので、慌ててお父さんに電話代わって!と伝える。
やっとのことで父に電話を代わってもらい、「昨日はありがとう。」と伝える。
「どういたしまして。」と父。
昨日は遅かったのに、運転は大丈夫だったかと聞く。
道が空いてたから、すぐに帰れたとのこと。やっぱり昨日は暗かったから、どっか変な道に入っちゃったんだろうね。と父が言う。
「そうかなぁ、何か変だったね。とにかく帰る時もお迎えよろしくお願いします。」と言って電話を切る。
おばあちゃんが「お父さんは何だって?」と聞く。
「あっ、電話代われば良かったね。道が空いてたからすぐ着いたって。」
「そうかね。」
「でも昨日3時間近く迷ったの、「変な道に入ったからかな。」なんて言ってるの。そんなはずないから変だねって言ってたのに。なんか怖かったんだよ。」
とおばあちゃんに訴える。
「そんなに怖かったんね。」
「うん、なんか怖かった。」と昨日の夜のことを話す。
おじいちゃんが、若い頃に山を降りられなくて、おにぎりをお供えして山を降りた話を思いだして、お菓子をお供えしたことを話すと、「よく覚えてたねぇ。あんたがちゃんとお供えしたから迷い道から帰れたんだろう。」と褒めてくれた。