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現実逃避
俺は言葉を失った。
は?魔力喪失?そんなわけない。子供のころから魔力があるという理由で期待され、自分でもそのことに誇りを持っていたんだぞ。
「ははは。まさかね。」
そうか、こいつは偽者だ。一等術尉の制服をきたただの俺のファンか。にしても趣味が悪いぜ。ファンが俺に嘘をつくとは。
「いま君は私のことを疑っているようだな?」
おっと、そろそろ芝居はやめにしようぜ。諏訪ファンクラブ会員第1号の称号をあげるから。
「私は魔術自衛隊関西支部の高野だ。」
おや?懐から赤い手帳。表紙には魔方陣。おっと、どうやら本物だったらしい。
じゃあ?まさか?本当に?
いや、まだ可能性は・・・。
そうだ、今日はエイプリルフールだ。だからこんな大げさな嘘を・・・。
「ちなみに今は8月3日だ。」
たしかに高野さんの頭から反射してくる太陽の光がまぶしい。
え、じゃあ、まさか?
いや、今実際に使ってみればいいじゃないか。
まずは基本から。机の上にある彼岸花が生けられている花瓶を浮かせてみせよう。
ん?彼岸花?
なぜ彼岸花?
まあ、いい。きれいな赤色じゃないか。
彼岸花はさておき。
なにかおかしい。魔力を流しこんでいるはずなのにピクリとも動かない。
そして・・・
神経が切れた。
もう限界だ。
「ここまでしたのに浮かないなんて・・・」
そして俺はさとった。
本当に魔力を失ったのだと。




