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【紅竜編 その1】 不満解消

 

「アカリ、引越ししようと思うのですが」

「へ? なんで?」

「…………」


 イースが今住んでいる場所は以前と変わらず城下街の借家だ。王城まで近いから立地条件も良いし、独り暮らし用だから家賃もそれ程高くない。中々良い物件なのに、そうイースに言ったらとっても不機嫌な顔をされた。


「何故か分かりませんか?」

「え、いや……、わ、分かりません……」


 そう答えたら今度は深い溜息を付かれた。いやだから、もったいぶらずに教えてくれればいいじゃん!! なんなのさ!


「アカリ」

「はい?」


 突然席を立ってこっちに歩いてくるイース。二人共仕事が休みだから、今日はイースの家で一緒に昼食を食べ、一息ついた所だったのだ。

 って、ちょっとイースの顔がマジ過ぎて怖いんだけど!!

 思わずのけぞると、それを不満に思ったのかイースがあたしの手を乱暴に引いて椅子から立たせる。至近距離で見詰め合う形になって、あたしはこの妙な空気に気圧されていた。


「な、何?」

「アカリがこちらに戻ってきてどのくらいになります?」

「え? えーと……、二ヶ月ぐらい?」

「アカリも仕事に慣れて、こちらでの生活も落ち着いてきましたよね」

「あ、うん。そうだね」

「……何か足りないと思った事はないですか?」


 問われてうーんと頭を悩ませる。レビエント王子達の好意で住居は以前と同じく王城勤務者の寮を借りているし、仕事も順調。母ちゃんのお陰で独り暮らしでも家事に困ってない。あと足りないものなんてあったっけ?


「特に無いと思うけど」

「…………」


 あ、イースの目が据わってる。やばい。コレなんかやばいヤツだ。あたしは何を間違えた!?


「アカリ……」

「はい!?」

「僕は何故この状況で貴方と離れ離れで生活しないといけないんですか!!」

「……。はい?」


 つまり、イースの言いたい事はこうだった。

 レビエント王子の計らいであたしは王城内の寮に住む事になり、仕事も住居もイースとはバラバラ。せっかく感動の再会を果たしたのに、一緒に居る時間が少な過ぎて不満だったらしい。


「寮を出て一緒に暮らしましょう。アカリ」


 あまりに真面目な顔して言うもんだから、あたしは思わず噴出してしまった。


「人が真面目に話しているのに何故笑うんですか!?」

「あはははっ、ごめんごめん!! いや、なんかさ、嬉しいなぁと思って」

「……え?」

「だから嬉しいの!! 聞き返されると恥ずかしいだろ! なんども言わせんな!」

「アカリ……」


 お互いに真っ赤な顔。それがおかしくて今度は二人で笑った。

 イースがいてくれるなら、どんな家でもどんな場所でもあたしはきっと楽しいだろう。けれどきっと真面目なイースのことだから色々物件見て回るんだろうな。それはそれでとっても楽しみかもしれない。

 


 



 再会したのにずっとアカリ不足だったイース(*´艸`)=3

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