拡大するハニー派閥
ハニー・スミスが転校してきて一週間もしない内に、学校関係者どころか、村民全員がハニーの周りを取り囲んで、おべっかをかいていた。
クラスの人間は、信望や親しみの範囲を超え、崇拝の範囲まで来ていた。この崇拝集団の団長は、里亜奈の取り巻きの一人だった。
私はこの集団のことを「はちみつにたかるハエ教」と名付けた。
もちろん、村民の中には惑わせない連中もいた。それが、私の生物学的な親だ。
こいつらと同類だとは思われたくはない。
毎日のように嫌がらせルーティーンが終わり、自転車を引いていると「はちみつにたかるハエ教」が周りにいるはずのハニー・スミスが一人で歩いていた。
気になって目で後を追った、
魔の川の方角に彼女は進んでいったため、更に気になったため自転車を学校慌てておき、木や草むらに隠れながら、彼女をつけていった。
魔の川は山の中にあるはずだからきっと山間部の近くなのだろうと最初は思ったが、山の中に入っていった。あたりは暗くなり、見知ったはずの風景もなんだか怖くなってきたが好奇心がそれを許さなかった。
ようやくハニー・スミスが止まったと思ったら、そこは魔の川だった。ハニーは私の方を一瞬だけギロッっと見た。たぶん気づかれていないよね。
そして、彼女は川の中に飛び込んだ。不思議なことに水しぶきは一切あがらず、音も全くしなかった。今ここから消えてしまったかのように。
呆然と立ち尽くしていると、川から声が聞こえた。
「お前は、鈴木言葉だな。」
「貴方は誰。」
いきなり、得体のしれない声から自分の名前を言われ言葉は尻もちをつき後退りをし始めた。
「そうか、鈴木言葉か。じゃあ殺す。」
恐怖で声も出せずに震えている言葉に大量の水の槍が出現する。
「さあ、言い残す言葉はないか。」
恐怖で震え声も出ない状況で、言葉は何故か弁当箱と水筒を出しており、その中のゴミと水筒の中身を川にぶちまけた。
すると、
「痛い、痛い。」
といったかと思ったら、その声をだんだん小さくなりいつの間にか水の槍も無くなっていた。
私は、いつの間にか山道を走っており、学校までいったが門がしまっていたためゼイゼイいいながら家まで走った。
いつも通りの夜のルーティーンを済ますと寝る前にふと考えてしまった。何故自分はあの時弁当箱の中のゴミと水筒の中身を川にぶちまけたのだろうと?
気づいたらやっていた。そんな感じだった。私は昔あそこに来たっけ?そんな懐かしい感じがあの川からした。それに、なんで山道を迷いもせずに私は帰れたんだろう。
それが謎だった。