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ミラーボールの下で  作者: 記紀
第一章 鈴木言葉
2/25

魔の始まり

予鈴がなり朝のSHRが始まると、いつも通り先生は注意事項やら、連絡事項やらのことを話す。ーーーーーーーはずだった。


「えー今日からこのクラスに転入している生徒がいる。」

クラス中にざわめきが走った。

「先生、その子は女の子ですか?」

男子たちが騒ぎ始める。

そんな男子を無視して先生は進行する。

「スミスさん入ってきて。」

スミスさん?転校生はイギリス人なのだろうか。

ガラッ

そこに現れたのは、フワフワのセミロングヘアの髪を三つ編みハーフアップにした、中学生といってもいいほど童顔なのに、出てる所はちゃんと出てる美少女だった。

「転入生のハニー・スミスさんだ。」

「ハニー・スミスと申します。」

「スミスさんは、ご両親の仕事の都合でイギリスから日本に住んでいるお祖母様の家に住むことになり、この学校に通うことになりました。皆、仲良くするように。スミスさんの席は、ーーーー鈴木さんの隣でいいか。」


いいかじゃねえわ。なんで、隣の席が私なのよ。ほかにいっぱいいるでしょ。佐藤さんとか佐藤さんとか。

別にさ、オタクとか、陰キャとかだったらいいんだよ。なのに何なんだよ、転校生て言うだけでも敷居が高いのに外国人しかも見た目からして完全なる陽キャ。きっと前通っていたイギリスの学校ではスクールカースト最上位の女王様だったのだろう。圧がすごいんだよ。圧が。脳が足らないクラスメイト共は気づいていないようだが、彼女笑顔が外交に行く時の女王の笑みそのものなんだよ。相手を笑顔で油断させた後、言葉たくみに相手を丸め込み、自分の思い通りにするという悪辣女王陛下そのもの。きっと、クラスメイトもお自分の新たなる駒としか思っていないだろう。


「鈴木さん。鈴木さん。」

「あっすみません。スミスさん、少しボーッとしてしまって。」

「良いのよ。こんな時期にようやくクラスに馴染んできたのに、そんな時に転校生だなんて。」

「スミスさんそんなに自虐に走らないで、ください。」

「フフッ、ありがとう。転校初日に優しい人の会えてよかったわ。」

そう、くたっくのない微笑みを浮かべる、スミスさんは怖かった。やはり私の仮説はあたっていたようだ。


現在、スミスさんに学校案内をしている。スミスさんの真意はわからないものの、悪い子ではないのは確かなのだろう。

そう思いながら学校案内をしていると、突然佐藤さんとその取り巻きが前に立ちふさがっていた。

「鈴木さん、何学級委員である私に全て話さないで、どうしてスミスさんの案内をしているの。案内をするのはこの学級委員である私でしょ。」

ああめんどくさい。どう言い訳するか。

「スミスさん、鈴木さんは協調性が全くない人よ。こんな人と友達になっても、いざとなった時この人は絶対逃げ出すわよ。」

佐藤さんは気付かなかった。スミスさんの冷たい殺気に。

「佐藤さん。これ以上私と最低限の会話以外関わらないでください。」

「何を言っているのスミスさん。私はスミスさんのためを思って。」

「貴方は、クラスの協調性、協調性と言いっているけれどただクラスを支配したいだけ。見ればわかりますよ。だって鈴木さん以外のクラスの女子は皆、貴方の回りに集まっている。鈴木さんは貴方を軽蔑した目で見ている。鈴木さんは確かに人付き合いが苦手なようだけれど、話してみれば悪い子ではない。群れることを拒んでいる、ただそれだけ。クラスをまとめることは学級委員の仕事ととして当然でしょう。しかし、貴方がしていることは、ただ自分の私利私欲のための支配に過ぎない。自分のグループに属していない子をただ自分が気に入らないかという理由で潰そうとしているだけ。学級委員という権力を盾に、個人の自由を奪う人間が私は嫌いだ。だから貴方は、最低限の事以外私に関わらないで。」

彼女は、その時女王だった。

「生きましょう。鈴木さん。」

そう言って、私の手を引っ張った。呆然と立ち尽くしている佐藤さんとその取り巻きを横目に。


ある程度の学校案内を終えるとスミスさんはありがとうといって、また明日、さようならといって帰っていった。そういえばスミスさんのお祖母様の家の方角って、あの川の方角だな。

あの川とは、この地域に伝わる都市伝説のことだ。

その川に入ると自分を食われるそんな都市伝説だ。



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