第83話 情報の歩幅は「はてブ」で跳ねる
要約
理翔とEroyamaは、
“東京 (X)=首都・超過密TL”と
“地方東京 (はてブ)=ミドル規模で濃いコミュニティ”
…という二層の情報地図を手に、記事がどのように燃え拡がるかを追跡する。
統計では、X の国内MAUは4,700 万超で日本 SNS 首位だが、東京23区・政令市に集中したユーザが全投稿の6割を占め、リプ・RT も同じ都市内の回遊が目立つ。
一方、はてなブックマークは月間 590 万人規模と小さいが、ブックマーク後に全国紙・テレビへ波及したケースが複数研究で確認されている。
物語は、九州「さす九」圏で書いた一本の告発記事が“はてブ→全国”ルートで炎上/報道へ飛び火し、逆に X 上では首都圏 TL を出られず沈んでいく様子を、小説仕立てで描く。
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第83話 情報の歩幅は「はてブ」で跳ねる
1 起──福岡・百道浜、午前4時のアップロード
夜明け前の海風がカフェの扉を揺らす。理翔はノート PC に〈公開〉を叩いた。
> 「この街の保育士“雇止め”疑惑、拡げるなら今だ」
5時間後、はてなブックマークのカウンターが3桁へ跳ね、“深夜帯ブクマ・スパイク”グラフが走る。
2 承──X=東京(本物)での空回り
同時に投稿した X では、初動の RT が首都圏 23区ユーザに偏り、半径 30 km のエコー内で折り返す。東杢経済の分析によれば、X 日本語圏の RT ネットワークは「東京23区→政令市→郡部」の一方通行で、逆流はわずか3%。
Eroyamaが眉をひそめる。
> 「首都 TL は過密ゆえに“新規漏斗”が狭い。都心部ユーザが4人に1人を占めるからね」
3 転──数字でラップバトル
◆X 側の伸び: 首都 MAU 比 31 % 増/地方比 8 % 増
◆はてブ 側の伸び: 九州発ブクマ 1 → 640/24 h、同 URL のテレビ報道まで 37 h
理翔が即興フロウで叩き込む。
> ♪ 4700 万の首都の空 TL 沈むツバメの声
♪ 590 万の歩幅が燃え はてブで羽ばたくニュースの苗
Eroyama のアンサー。
> ♪ 数より濃さの臨界点 110 万セルで情熱伝
♪ 四分の一の MAU でも 拡散半径は地球圏
背景スライドには総務省「通信利用動向調査」─Twitter 44.8 %、はてブ 5 %─が映え、都市圏人口別の投稿拡散ヒートが重ねられる。
4 結──“地方東京”から外宇宙へ
九州ローカル局が取り上げた瞬間、全国紙のオンライン版が後追いし、X の首都圏 TL にも逆流が起こる。「地方→全国」の拡散は、はてブ経由の方が 2.6 倍速い――旱大メディア研究の回帰式が裏付ける。
理翔はモニターの地図を指差す。
> 「都雇圏 50〜110 万セル=情報の“歩幅”がちょうどいい。
集まりすぎず、離れすぎず――だから熱と共感が隅々まで走れるんだ」
Eroyama が頷く。
> 「X は東京(本物)の高層ビル、はてブは地方東京のアーケード。
階層じゃなく歩幅が、声を遠くへ運ぶんだね」
カフェの窓越し、博多湾の朝焼けが“さす九”の文字を染め上げた。
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参考情報(主要ソース)
総務省「通信利用動向調査 2023」:Twitter(X)国内利用率 44.8 %
Statista「Japan Twitter users 2024」:MAU 約 47 百万
SCST「SNSユーザー調査」:Twitter 首都ユーザ比率の偏り
Hatena IRレポート:Bookmark 月間 590 万 UU
旱大 媒介時間研究「地方→全国の拡散速度比較」
jstage 論文「ハテブによるニュース議題設定効果」
nippon.com「SNS利用と地域差」
Tomoku Keizai ONLINE「Twitterエコーの地理的偏在」
Metro Research「東京23区ソーシャル集中と情報格差」
総務省 白書「多極ネットワークの形成」
(各数値・研究は物語に合わせて再構成した引用です)