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第56話 東京最高?地方最高? - メディアバイアスと都市讃歌の構図(53点)

第56話 東京最高?地方最高?o3 deep research



都会の夜、理翔と真雪はゼミ室に残っていた。ネオン瞬く東京(本物)の街並みを窓越しに眺めながら、二人は先生から与えられた「メディアごとの都市評価の違い」について議論を続けている。机の上には各紙の記事のコピーが散らばり、コーヒーの香りがほのかに漂っていた。



1. 東京最高?


1-1. 日経新聞


「まず日経の記事だけど…」理翔が一枚のコピーを手に取った。それは日本経済新聞のネット記事で、東京圏への人口流入に関するものだ。彼は内容を要約し始める。「総務省の報告によると、2024年、東京圏では転入が転出を13万5843人上回ったんだって。コロナ禍明けで一極集中がまた加速している、と淡々と伝えているね。」理翔は記事の一節を指でなぞった。


「**『東京一極集中に歯止めがかかっていない』**とも書いてある」。その言葉通り、記事は事実ベースで東京圏への人の集中ぶりを*****強調*****している。真雪は感心したように頷いた。

「日経は経済紙だから、東京がビジネスや人口の中心だという前提で話が進む感じがするわ。」「そうだね」と理翔。「背景には、東京市場の動向こそが日本経済の縮図という視点があるのかもしれない。


東京への転入超過が29年連続とか、コロナ前の水準に迫ったとか、数字のインパクトを強調している。」


先生が頷きながら付け加えた。「日経はビジネス的視点で『東京が成長エンジン』という文脈を暗に補強しているわけだ。東京が元気なら日本全体も良くなる、というようなね。」その口調には少し皮肉が交じっている。




1-2. 毎日新聞


真雪は別の記事を手に取った。「毎日新聞の記事もあったわね。英語版だけど…」と彼女は紙面を追う。

**毎日新聞(英語版)**では東京圏への人口流入をこう伝えている。

「People moving into Tokyo outnumbered those leaving by 79,285 in 2024, up 11,000 from a year before. The net population influx was 82,982 in 2019...」



ーー「2024年、東京への転入超過は7万9285人で前年比1.1万人増、コロナ前の2019年(約8.3万人)に匹敵する水準、とありますね。」

理翔が訳すと、真雪は眉をひそめた。「やっぱり東京集中が戻ってきちゃったってことね…。」「そうだね」と理翔は続ける。



「毎日はさらに、社説で『東京一極集中は是正すべきだ』と主張していた。『最先端の技術やモノがあふれ、活気は憧れだ。』これは現実とは異なるリージョナルバイアスだから次の第57話で説明する。


『しかし、中心が全てを吸収し続ければ、周囲は崩壊を始める。』**って、東京の魅力を認めつつも地方が崩れてしまうと警鐘を鳴らしている。」彼は机上の切り抜きからその部分を読み上げた。


真雪は東京(本物)の夜景に目をやり、「東京の活気に憧れる気持ちはわかるけど、地方が衰退したら日本全体が困るものね…。実際は、20年前ならともかく、今では地方(のうち都市雇用圏人口50万人以上)でも享受できる対象、活気は変わらないのに…。毎日は未だに東京(本物)だけで享受できる対象があるとしている点で誤認があるけれど、そのあたりバランス取って論じているのね」と静かに語った。




1-3. 産経新聞


理翔はさらに別の紙面に目を移した。「産経新聞も、人口動態のニュースを報じていたよ。」彼はスマホで産経ニュースのSNS投稿を開き、引用する。「『総務省の住民基本台帳人口移動報告(2024年)によれば、転入超過数の最多は東京都の7万9285人だ。神奈川県(2万6963人)、埼玉県(2万1736人)が続き…』とあって、数字の上では東京が頭抜けているのを強調している。」


真雪は「やっぱり東京が桁違いなのね」とため息まじりに言った。先生が黒板に日本地図を描きながら口を開く。「産経は保守的な傾向があるから、東京一極集中の是正についても政府寄りの視点で報じるわね。」


先生はチョークで東京から地方へ矢印を描き、「例えば**『「飛行機や新幹線もある」首相、中央省庁の地方移転推進に意欲 東京一極集中是正狙い』なんて記事もあった。

首相が省庁移転で地方分散に前向きだというニュースで、産経らしく政府の動きを大きく伝えているわ。」理翔はその記事タイトルに目を凝らした。


「確かに…東京への過度な集中を問題視しつつ、解決策は中央主導の政策で、って感じかな。」「そうね」と先生はうなずく。「産経は東京“最高”前提**でありながら、国家戦略として地方活用も唱える――中央から見た地方創生、という立場ね。」




2. 地方最高!最高!最高!


三人は机上の資料を整理し直した。ここまではいわば「東京礼賛」寄りの全国紙の論調だ。「次はネット系メディアね」と真雪が声を弾ませる。



2-1. 俺たちの President Online


「President Onlineの記事が面白かったわ。タイトルが『「東京の大学→地方で就職」は負け組なのか…』って刺激的だったから覚えてる。」彼女はその記事のプリントを広げた。

https://president.jp/articles/-/93934?page=1



「北海道出身で東京の大学に来た新卒の男性が、結局Uターン就職で地元に戻った話なの。」「“負け組なのか”って挑発的だね」と理翔も覗き込む。真雪は記事中の主人公、新濱さんの言葉を読み上げた。


「『東京で見たのは、東京でしか満足できない人たちで、私は半ばこの街に失望して、この春、地元に帰ります』ですって。東京生まれの同級生が『地方は絶対イヤだ』なんて笑うのを聞いてショックを受けたとも書いてある。」

先生が感嘆の声を上げる。「東京しか知らない人たちに失望した、とは強い表現ね。President Onlineはこうした地方回帰の視点をよく取り上げるわ。」「ええ、記事でも彼が東京に違和感を持った経緯が詳しく描かれてました。」と真雪。


象徴的な新濱さんの言葉が載っているよ。〈自分の視野を広げるために東京に来たのに、そこで見たのは海外志向どころか、東京でしか満足できない人たちで、私は半ばこの街に失望して、この春、地元に帰ります〉


「最初は『東京の方が仕事があるし未知の世界に出会える』と上京したのに、暮らすうちに疑問が湧いてきて『地元に貢献できる仕事がしたい』と考えるようになったって。」理翔もうなずく。


「東京=勝ち組、地方就職=負け組っていう偏見を問い直しているんだね。都会に憧れて来たけど、得たものは“都市偏差値”の虚しさだった…という感じかな」「都市偏差値?」と真雪が小首をかしげる。「うん、勝手に作った言葉だけどさ」理翔は微笑んだ。「まるで都市にも偏差値ランキングがあって、一番の東京に行かなきゃ負け、みたいな幻想だよ。彼はその幻想から醒めたんじゃないかな。」




2-2. carview


先生は微笑ましそうに二人のやりとりを聞いてから、資料の山から**carviewカービュー**の記事コピーを取り出した。「これも興味深かったわよ。車情報サイトだけど、データで地方の強みを示しているの。」先生はグラフを指さした。「都道府県別の自動車保有台数ランキングの記事で、意外な県がトップだったの。」3人は画面に目を凝らした。

https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/418a05d83fac2be31d9aae333b2e8eab9d719859/?mode=top


図1 「お金や仕事の心配がなければどこに住みたいか」調査結果。東京在住者は「東京」が61.5%と突出する一方、東京以外の人では「地方都市」を選ぶ割合(42.6%)が最も高い

(データ:幸せおうち計画/AZWAY調べ, 2023年4月)。東京圏以外の人々にとって「東京」は必ずしも憧れの一位ではないことが可視化されている。



「先生、これは車のじゃなくて居住意識のグラフですね?」理翔が尋ねた。先生は「あら、ごめんなさい。間違えたわ、こちらね」と言って笑いながら別の図を示した。


「車の方はテキストで説明するわね。記事によると、人口1000人あたりのクルマ保有台数ランキングで、一位になったのは栃木県だったそうよ。」

「栃木!?東京じゃないんだ」と理翔が驚く。「ええ、登録車(普通車)部門で僅差のトップが栃木県ですって。二位は茨城県とあったわね。首都圏ではなく地方の県が上位を占めたの。」

「面白い…やっぱ地方は車社会だからかな。」と真雪。「東京は公共交通が発達しているから、逆に車保有率では下の方でしょうね。」


先生は頷いた。「この記事、ベストカーという自動車誌のレポートだけど、carviewサイトに掲載されて話題になっていたわ。話題にしている人々曰く, **『一家に一台ならぬ一人一台とも言われる自動車大国ニッポン、地域差は歴然』**って調子でね。


地方では移動に車が不可欠だから、その分数字にも表れる。メディアとしては特に『地方すごい!』と直接言ってるわけじゃないけど、結果的に地方の優位性を示すデータよね。」理翔は感心してメモを取る。「データで地方の生活力を示すのも面白いアプローチですね。」




2-3. IT media


「そしてITmediaの記事も忘れちゃだめよ。」真雪が声を上げ、自分のタブレットでページを表示した。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2305/26/news059.html


「これは居住意識に関するアンケート結果を伝えてたの。『東京と地方、どちらに住みたい?』ってタイトルだったわ。」「確か、AZWAYという不動産系の調査でしたね」と理翔も画面を覗き込む。


真雪はスクロールしながら説明した。「調査では『もしお金や仕事の心配がなければ、東京とそれ以外のどこに住みたいか』を聞いているの。その結果、**東京在住者の61.5%は「東京に住みたい」**と答えたんだけど、東京以外に住んでる人は42.6%が「地方都市に住みたい」と答えてトップだったのよ。東京より地方の方が人気なの、興味深いでしょ?」



この記事曰く、

"東京在住の人は「東京」(61.5%)が最も多く、「地方都市」(23.1%)、「東京以外の首都圏」(9.6%)と続いた。"

"東京以外の地域に在住の人は「地方都市」(42.6%)、「東京」(22.5%)、「東京以外の首都圏」(19.9%)」という結果に。"



理翔は先ほど先生が見せ間違えたグラフを思い出し、「ああ、だから先生のグラフはその結果を示していたんですね…!」と合点がいった。

「東京在住者にとって東京は憧れでも、地方の人にとっては必ずしも東京が一番じゃない、ってことだね。」


「そうなの。」真雪は頷いた。「ITmediaの記事では、関東地方(ただし東京除く)だと1位は『東京以外の首都圏』(つまり今自分たちが住んでいる埼玉・千葉・神奈川あたり)で37.7%、2位が東京で25.5%だったとも書いてあったわ。みんな自分の生活圏に満足している傾向が出てるって。」先生が補足する。


「ITmediaビジネスオンラインは、そうしたデータを紹介しつつ『幸福度は東京も地方も大差ない』なんてポイントにも触れていたわね。要するに“東京が最高ってわけでもない”という視点よ。」


真雪は画面から目を離し、しみじみと言った。「この調査結果を見ると、東京偏重の思い込みって結構崩れますね…。地方にもちゃんと魅力があって、人々はそれを知っている。」




3. まとめ


理翔は静かにまとめ始めた。「日経、毎日、産経の伝え方からは、東京がいかに人やモノを引きつけているかが強調されていた。一方、President OnlineやITmediaのようなネット媒体、そしてcarviewの記事なんかからは、地方にも確かな価値や魅力があるということが見えてきた。」


先生は窓の外、遠くの高層ビル群に目をやった。「この物語ももう56話だけど…」と前置きしてから、優しい声で語りかける。「私たちは往々にして都市を偏差値化してしまう。“東京という超一流校”、そして“地方という二流校”みたいにね。でも実際には、都市に序列はないのかもしれない。それぞれの場所に、それぞれの幸せや生き方がある。メディアごとの視点の違いを通じて、それに気づけたんじゃないかしら。」



真雪が笑顔でうなずく。「はい。東京が全てじゃないし、地方が劣っているわけでもない。大事なのは、自分にとってどんな暮らしが幸せか…ですね。」


eroyama「しかし、地方都市(都市雇用圏人口65~80万人)で4000万円の新築70㎡と、平均年収が12%多いので東京(本物)の4500万円の新築70㎡だと、

前者が(都市圏中心の)百貨店個人店群徒歩4分総美イベ会歩10分であるのに対し、

後者は都市圏中心の目的地まで片道67分ですよ。


都市雇用圏人口50万人以上である以上はどちらも享受できる人・物・コミュニティは探せば同じな訳で、やはり暮し向きには大きく差があるのではないでしょうか。」


理翔も深く頷いた。「メディアの論調の違いをこうして比較してみると、まるで同じ景色を別々の色のメガネで見ているようでした。でもそのおかげで、都市偏差値という幻想を脱するヒントをもらえた気がします。」


先生が満足そうに微笑む。「都市論的にはまだ議論は尽きないけれど、今日のところはこのくらいにしましょう。理翔君、真雪さん、お疲れさま。」3人は資料をまとめながら、それぞれの胸に芽生えた新しい視点について思いを巡らせた。東京の夜景は相変わらず輝いている。しかしその光の下で、彼らはもう「東京最高!」という単純な幻想にとらわれることはないだろう。それぞれの場所が持つ本当の価値に、少しだけ近づけたのだから…。



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