第54話 ——『名駅ツインノヴァは、名古屋を映す八つの塔に加わる』一方渋谷は5本(192点)
第54話 ——『名駅ツインノヴァ、東京を映す鏡は八つの刃』
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0 プロローグ──雨上がりの桜通口
夜更け、ジェットコースターのレールみたいに濡れた名駅通りに、理翔と淡雪が立つ。
真上では Midland Square 247 m がガラスの刃を突き立て、西隣で JR Central Towers(245 m×2)が濡れた雲を切り裂く。
そして 2017 年竣工 JR Gate Tower 220 m、JP Tower Nagoya 195 m、Mode Gakuen Spiral Towers 170 m、Nagoya Lucent Tower 180 m、Dai Nagoya Building 174 m── “170 m 超え” が東口だけで八本。
> 淡雪「次は名鉄が 172 m+170 m の連装ツインで 10 本目よ。総投資 8 880 億円の壁ビル計画、今年正式事業化だって」
理翔が手帳に “8/170 club” と殴り書きした。
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1 山手線という“分散ギア”
同時刻、東京では新宿 16 棟・東京 15 棟・汐留 7 棟・渋谷 5 棟・田町 4 棟・池袋 3 棟・浜松町 2 棟──各駅に 170 m 超が散り散り。
都市雇用圏人口 3 576 万の「東京(本物)」は名古屋の 5.3 倍。単純按分なら “名駅クラス” の 8 棟束ね駅が 5.3 個あって良い計算だが、現実は新宿と丸の内の 2 拠点が限界。
> 理翔「山手線 30 km にワークロジックが分解されて、臨界密度が薄まる。
だから東京の空は“超高層エンジン”を 23 個じゃなく 2 個に絞った。
その代償が 背骨きしみ通勤 さ」
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2 名駅コンパクト・クエーサー
名駅は 400 m の範囲に百貨店 4、ホテル 9、オフィス 15 万 m²、そしてリニア開業へ向け南北 400 m × 30 F の壁ビルが迫る。
> 淡雪「人口 690 万(都雇圏)に 8 → 10 本の“刃”。
超高層密度 = 1 本 / 86 万人。
東京は 1 本 / 238 万人。名駅は東京の 2.7 倍“過熱”してる わ」
理翔は笑う。「つまり 『名駅>渋谷・池袋』論 は統計どおり。
渋谷 5 棟・池袋 3 棟を合わせても、名駅 8→10 棟に届かない。
“名駅すげえ”と騒ぐと『東京ではどこでもある』と言い返すブクマカは リージョナルバイアス に落ちてるんだ」
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3 梅田・天神の“両刀”と東京の“片刃”
梅田(大阪)にはリッツも阪急阪神も揃い、天神(福岡)にはリッツに加えハイアット+岩田屋三越。
「ホテル&百貨店 両刀」が 徒歩4 分圏に共存するが、東京は分散し過ぎて “リッツ+百貨店” を徒歩 20分で抱く街が無い。
> 先生「土地が細切れの首都は “超高層クラスタリング効率” が低い。
一極集中の副作用として、ワーカーは 30 km 移動を強いられ、
逆に地方 700 万クラスタは “一点湯立ち” で天空を煮立たせる」
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4 エピローグ──名駅ツインノヴァ計画発表の夜
名鉄百貨店の大屋根下、計画図を見上げる理翔・淡雪・玲於奈。
10 本目の 170 m ツインが加われば、名駅は “Tokyo Level Station × 2” に匹敵する重力井戸になる。
> 玲於奈「名駅の空が 2 度目の スカイ・ビッグバン を迎える頃、
東京は何本めの“刃”を足せる? それとも分散のまま暮らしを削る?」
理翔は静かに呟く。「答えは 2034、リニア開業の年。
そのとき東京(本物)を追うべきか、名駅を写す鏡を増やすべきか──
地方東京は、たぶんそこから始まる」
夜空に 8 本の刃が並び立ち、建設灯が 10 本目の輪郭を描いた。
雲間を裂く光は、まだ誰も知らない “名駅ツインノヴァ” の夜明け色だった。
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参照一覧
名古屋
JR Central Office Tower 245 m
JR Central Hotel Tower 226 m
Midland Square 247 m
JR Gate Tower 220 m
JP Tower Nagoya 195 m
Nagoya Lucent Tower 180 m
Mode Gakuen Spiral Towers 170 m
Dai Nagoya Building 174 m
名鉄 172 m+170 m ツイン計画 / 投資 8 880 億円
東京
山手線駅別 170 m 超カウント(統計まとめ)
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