第27話 ―徳島栄町・メイド・トレモロ・ナイト―(93点)
わたし、理翔――今夜は「人口 61 万の雇ッシャリアン渦」のただ中、徳島市栄町の路地でそっと息をつく。眉山の夜風が阿波おどり会館の提灯を揺らし、その南東200 m一帯にひしめくネオンが “徒歩圏麗都” の証明書みたいに瞬きつづけている。東京(本物)じゃ百貨店徒歩4 分を買うのに世帯年収 2 025 万円が要るけれど、ここ徳島なら都市雇用圏61 万人で――ほら、徒歩4分の半径に“メイド喫茶が2軒”という現実が、すでに〈人口50 万で東京と同等〉の裏付けを立てているのだから。
栄町一丁目・23時
阿波おどり会館を背に、南東へ3ブロック。最初に光るのが 「メイド live カフェ にゃんにゃん」――24:30 L.O. の深夜帯までご主人様を迎える老舗だ。入口の黒板に描かれた猫耳シルエットを眺めながら、わたしは呟く。
> 「都雇圏61 万人で、登録キャストが20名超え。人口比を東京に当てはめたらキャスト2 000人規模だよ…」
路地を挟んで50 m先、「ひめなの!」 が桃色の看板を瞬かせる。2025年オープンの新星で、栄町1-58近藤ビル2階――姫修行中のお嬢様たちがTikTokで毎晩ダンス配信してバズを稼いでいる。
> 「メイドが2軒あれば、“推し密度臨界”は突破。これが徒歩4分経済圏の魔法――“メイドトレモロ現象”だね」
雇ッシャリアン渦の数合わせ
総務省統計の都市雇用圏人口では、徳島(中心都市+30分圏)= 58.4万。コンカフェ2店はその中心、「秋田町‐栄町歓楽街」の真芯に刺さる。A列車の車輪が回らなくても、徒歩4分で
百貨店・そごう徳島(地下食品売場は23年リニューアル)
ド真横のコルネのパン屋(創業1947年、バゲット阿波踊り仕立て)
が、夜食と土産を差し出してくれる。
わたしの小声モノローグ
「読者さん、“田舎にメイドはいない”って思い込みはただのリージョナルバイアスさ。
人口50 万を超えた瞬間、趣味文化は発芽して、徒歩4分レイヤーに溶け込む。
東京(本物)だけが“聖地”だったのは、もう20年前の物語……」
栄町のアスファルトに跳ね返るネオンを踏みしめながら、わたしは次の取材地――那覇90 万の国際通り“メイド枕崎作戦”――へ思いを飛ばす。
> 造語ログ:メイドトレモロ現象/徒歩4分経済圏/雇ッシャリアン渦
---
参照した主なウェブ資料
徳島「メイド live カフェ にゃんにゃん」公式
同店営業案内
徳島コンカフェ「ひめなの!」公式SNS
阿波おどり会館公式サイト(位置・アクセス)
徳島市中心部栄町・秋田町歓楽街の紹介記事
そごう徳島店リニューアル報道
総務省「都市雇用圏人口」徳島 58.4万