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【短編】既成事実は観覧車の中で ~卒業後に責任を取らせようと企んでおりましたのに、わたくしの方がしてやられているのではなくて!?〜

作者: 月追める


短編を書くぞ!と言いながら万を超えてしまう病を克服するため、1000文字以内&お題に沿った文字書きチャレンジをさせていただきました。

書いては削り、書いては削り……一連の流れとしてまとまった上、ちゃんとオチもある(と思っている)はずですので、サラッとお読みいただけますと幸いです( .ˬ.)"





 遊園地中央。

 モニターに映し出される、一組の男女。

 騎士は紙に何かを書いており、令嬢はそわそわとそれを待っている。

 騎士がその紙を令嬢に渡すやいなや


「皆様、ご覧下さいな! わたくし、カロライナ・アルドリッヒは、晴れてデリック・ブレインと婚約致しましたわ!」


という声と共に、各々の署名が画面いっぱいに映し出された。

 それを見ていた学園の令息令嬢達は歓喜の声を上げる。

 侯爵令嬢として注ぎ込んだ金により、花火まで打ち上げられた。

 令嬢は目を輝かせながらそれを眺め、騎士は彼女を愛おしそうに見つめている。

 そんな二人は今、観覧車に揺られていた。




 カロライナは護衛騎士のデリックに長らく恋をしていた。

 だが、デリックは侯爵家に雇われた子爵家の令息で、次男坊のため引き継ぐ爵位もない。

 騎士爵を賜って身を立てている男と侯爵令嬢が結ばれるなど、到底無理な話だった。


 そうしてカロライナは公爵令息の婚約者に選ばれた。

 しかし令息にも想い人が居て、カロライナは弁えていたというのに令息は彼女に冷たく接し、想い人を恋人として連れ歩いていた。

 そのくせ令息は想い人を睨んだ虐めたとカロライナを非難し、その女から保護するためだと言って共に居ることを正当化する。

 そのせいで彼女は婚約者から愛されない令嬢として嘲笑されていた。


 それを憂いたデリックは水面下で調査を始めた。

 その結果、令息は想い人である令嬢の家の横領を揉み消していたばかりか、令息含め公爵家が国家転覆を謀る組織に(くみ)していると判明した。

 デリックが「主へのこれまでの不敬も償え!」と全ての罪を暴いたのだ。

 こうしてデリックは国から褒賞として伯爵位を賜ることになったのだ。



 学園の卒業祝いとして、この遊園地に来るのは恒例行事だった。

 カロライナはデリックを連れ、目印の付いた観覧車へと駆け込む。

 密室。

 カメラの設置された逃げ場のない空間で、婚約を迫ったのがつい先程。

 恐れ多いと渋るデリックを言い負かし、カロライナはついに署名をさせた。

 その一部始終がモニターに映されていた。



 花火から目を逸らし「既成事実とはこうして作り上げるのですわ!」としたり顔のカロライナ。

 それを見たデリックは、手で口元を隠しながらそんな少女にキスを落とした。

 顔を真っ赤にし、唖然とするカロライナに


「既成事実と言うのなら、ここまでしていただかないと」


とデリックは嬌笑を浮かべた。

 何処までが誰の策略だったのか、それを知る者は誰も居ない。







最後までお読みいただき、ありがとうございました!

当方が思う一番の後方支援者はこの人だろうな……というのをキーワードに入れております。

「あぁ、なるほど」であったり「そりゃそうだろうな!?」といった感想やレビュー、

いいね、ブクマ、評価など

とても励みになります……!

是非とも応援宜しくお願い致します( .ˬ.)"



また、最近完結した長編

【吾輩、嫌々ながら死にかけの青年を拾ってみた】

もお読みいただけましたら飛び跳ねて喜びます……!

命が狙われるような訳ありのヴィス、人里から離れ一人で生きてきたエルミルシェ。

前半はほのぼの楽しい物語ですが、後半になるにつれ全てが明らかになっていきます。

初対面であるはずの二人の過去と今が交わる時、彼らは真実に辿り着く――。

是非ご覧いただけますと幸いです( .ˬ.)"


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