質話目 お散歩
更新停滞&いまだにヒーローの出てこない話でもうしわけないです(´・ω・`)
ううー次には出せるはず・・・です。
【気】の溜まりをどうすればいいのか。
簡単に云うと、風水みたいな感じで『青色の花瓶を置く』とかなんとかすれば良いらしい。
「取り敢えず花瓶を売りつけてこい」と云う旨の事を丁寧に、笑顔で仰った我が師であり家主でもある安重さんに「ついでに観光でもしてきたら如何ですか?」と提案されたので朝御飯の時に御握りを数個作って少し早めに寺を出てみた。
現在私がお世話になっているのは、緑が生い茂る山々――をまとめて惠濃廟謳山と呼ぶらしい。話によるとみんな惠濃山って呼んでるらしいのだけど――の中のちょっと小振りな山の中腹にある重峯寺と云う御寺だ。私は重峯寺の近くにある禮來さん達の修行場所辺りで倒れたらしい。――なんだか変な場所に紛れ込んでいたんだなぁと少々自分に呆れてしまった。
ふっと足元に視線を向ける。そこには舗装なんてされていない剥き出しの大地。足袋に包まれた足を見ていると自然と溜息が洩れた。情けないことに昨日出歩いた際に鼻緒の部分で思いっきり靴擦れを起こしてしまった。安重さん達は驚いていたけれどそれこそ現代っ子を舐めないで欲しい。帰りなんて半泣きだった。靴擦れを起こした部分は安重さんに魔法(【癒しの術】という【方術】の一種らしい)を掛けて貰った。ついでに強化もして貰った。
今私は黒い法衣?みたいなのを着ている。足には草履。手には錫杖と紫の風呂敷に包まれた花瓶。そして胸にはサラシ。・・・どうせ巻くほど無いけどね!
話によるとこの世界では文化として、お坊さんとかもう髪を伸ばせない人(切ないなぁ)以外、みんな長髪らしい。中学生までは短かったが高校に入ってから伸ばしていたので正直助かったと個人的には思っているのだけど、安重さんに云わせるとまだ短いそうだ。私の肩甲骨にやっと届くぐらいの髪は紺色の結紐で適当に結っている。櫛や鏡などの現代式・お化粧道具は鞄の中に入れっぱなしだったので色々助かった。・・・鏡とかね。この世界の鏡は歪んでたし小さいし見にくいったらなかった。
昨日よりも慣れてきたようでさくさくと下山していく。強化をして貰ったお陰で足の指は全く痛くない。【方術】すげぇええ!と感動しつつ都の門を潜った。修学旅行で見た朱雀門みたいなおっきくて真っ赤な門を潜り都の中へ入る。
都の雰囲気は前に修学旅行で行った京都の様な感じだ。碁盤の目みたいに整えられた都の中は本当に平安時代っぽい。別に、こうであるから平安時代だ!なんて明確なものはない。と云うか、寧ろそんなに平安時代の事を知っているわけではない。だけど、此処は時代劇とかで見る江戸時代や戦国時代とはなんとなく沿ぐわないのだ。いや、なんでか解んないけど。
まぁ細かい事は置いといて、さて観光だ。前に来た時は下山に思った以上に時間が掛ったせいで街をゆっくり見る間なんてなかったのだ。
私は取り敢えず一通り街を一周した。この都の中には3本の川が流れている様でそこに朱色のアーチ形の橋が架かっていて、なんだか可愛らしい。大通りの一番向こうには宮廷が見える。・・・デカイし豪華だし赤いしなんか凄いなぁと呆れながら脇道へ。大通りなどは道が綺麗に整備され真っ直ぐ伸びているが、細い路地になると微妙に入り組んでいて、こういう道に入るとワクワクしてしまう私としては非常に楽しかった。
狭い小路をキョロキョロと歩いていると簪や巾着の様な小物のお店を発見した。フラフラと簪などが置いてある棚に足が向いた(これでも女の子だからね!)のだが、店番をしているらしき女性がキョトンとした顔で此方を見たのを見て私は慌てて方向を変えた。例え、目にキラキラ輝く宝飾が映った瞬間に条件反射で足が向くくらい乙女だったとしても、自分、今、男の格好、で、す、か、ら!周りからしたら違和感の塊だ!
ちょっと意気消沈しつつ隣にあった団子屋に腰掛け店子さんに声を掛ける。・・・別に、隣の店に入ったから簪や巾着が買えるってわけじゃない。多少の御金は貰ったけれど所詮はお団子一皿とお茶一杯で半分が無くなる程度だ。まぁそんな事はお金を受け取る時こんな信用ならない居候に金持たせていいのかと思いつつ、今のところは二人の好意に甘えないと野垂れ死んでしまう為お礼だけ云って大人しく貰っておいた自分が云う台詞ではないが。
もっちりとして、しつこすぎない甘さにほうぅと溜息を吐く。やっぱり甘い物って良いよなぁ。糖分最高!お茶も美味しいし。美味しい物は良い!
私がよっぽど幸せそうな顔をしていたのだろうか、店子さんは一皿おまけしてくれた。やった。それにしても顔を真っ赤にしていたけれど風邪でも引いてるんだろうか。
このお店で持参した御握りを食べてから私は機能と同じ家に向かった。
「・・・・・・と云う訳で御当主。あちらに見えます惠濃廟謳山の神聖な湧水と山頂近くの土を神の御膳にお供えして我が師が念を込めながら作った花瓶です。本来は、お寺に持っていく手はずだったのですが此方に融通して頂きました。此方を私の云う所に置いて下されば万全かと」
「ぬぬ・・・確かにお主が帰った後、娘の体調が回復した・・・・・・・」
「では、此方の花瓶は御購入して頂くことになります。お代などは此方に」
実際はお寺の近くにある粘土質の壁から安重さんが趣味で作ったもので、青かったのもたまたまなのだが・・・まぁこれで治るんならあちらも儲けものだろうし、此方も儲けさせて貰うとしよう。と云う訳で安重さんが渡してくれた紙をにこやかに手渡す。
払え。そして私は帰る。
「・・・・・・では今すぐ用意させる。そこで待っておれ」
「お願い致します」
ちょ ろ い ぜ !
顔に出ないように気をつけつつ頭を下げる。安重さん、流石です。尊敬します。元手0だったのになんか結構貰えるみたいだ。一応お金を払ったりはできるけれど物価とかをまだそこま把握していないのでお金の価値が良く理解できないが・・・まぁお団子代よりかはかなりあるようなのでほくほくだ。
上機嫌でいる私に厳しい顔をした御当主が「して、」と話しかけてきた。
「お主、娘に何をしたのだ?」
「は?・・・あぁ、失礼。何と申されましても、退魔、としかお答えできないのですが」
「戯言を・・・!娘に何か妖術の一種でも掛けたのじゃろう?!」
「・・・御当主、私にそのような能力はございません」
これは本当だ。いや、【能力】はあるのかもしれないがやり方が解らないのだから無いも同然なのだが。
「本当だろうな」
「はい、勿論でございます」
取り敢えず頭を下げた。ていうか可笑しくないか。なんでそう云う展開になった。頭を上げると同時に当主の家来が朱色の巾着を持ってきた。・・・タイミング、良すぎないかな。
「これで良かろう。もう二度と来る出ない。娘が惑わされるからな」
「はぁ・・・ですが、依頼が来ればまた参上いたします。仕事ですので」
良く解んない事になったなぁと溜息を吐きながら門から出た。
そんな私を門の隅から見ている人がいるなんて、思いもよらなかった。




