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睦話目  退治 はじめました

役職とか全然わかんねえええええもうちょっと勉強してきます。

今年中の更新は難しいかと思いますが来年からもよろしくお願いします。

それではみなさん良いお年を^^


「おい、そこのお前っ!娘の、娘の呪いは本当に解けるのだろうな?!」

「勿論です。御当主、呪いの様子を見る為に御簾の中へ入ってもよろしいでしょうか」

「ぐぬぬ・・・・・・良いか。儂の娘に触れるでないぞ!良いなっ」

「勿論でございます。御当主の麗しい御令嬢に触れるなど・・・では、失礼しますよ」


顔を真っ赤にして怒鳴るうるささにバレない様に嘆息して中へ入る。ジャラリと畳と御簾の端で擦れて音が出る。うーん本当に平安時代みたいだな。御簾って!恋文で相手を決めるのか。相手の顔とか気にならないのか?また変な文化だよなぁ。と思わず小さく唸ると15,6くらいの女性がハッと息を飲んだ。あ、不安にさせちゃった?拙い拙い。


「た、退魔師様・・・わたくしはそんなに酷い呪いの掛っているのでしょうか・・・?」

「いえいえ、申し訳ありません。大丈夫ですよ。今から調べますからね。唯、お嬢さんのあまりの美しさに驚いてしまって」


優しく微笑むとまぁと云って目を丸くし、少し頬を染めた。なんだか幾分リラックスしたようで、表情が柔らかくなる。が、顔色が悪い。ここ数日気分が悪かったり夜も眠れなかったりで、食が細くなっているそうだ。まぁ原因を調べるも何も此処に大量に居座って遊んでいる小人みたいな――まぁ見た目は鬼だから子鬼なのだが――奴らのせいなのは解りきった事。

頭が痛かったり夜眠れなかったりするのはこいつ等が歌って笑って叫んでいるから。よく物が無くなったり壊れたりすのはこいつ等が悪戯で隠したり壊したりするから。20匹ほどが我が物顔で屯っているのだ。これだけの数が騒げばその声が聞こえずとも頭も痛くなるし眠れないだろう。


「さて、ではやりますか」

此処一週間の授業の実習。なんだかちょっとだけわくわくする。

恨みはないけど思いっきりやらせてもらうよ。子鬼諸君。



「妖怪退治・・・ですか・・・?」

「はい」

「いや、私そう云う事した事ない・・・って云うかできないんですけど」


て云うか貴方の奥さん、妖怪だと思うんですけどー?!と思わず叫びそうになったがグッと我慢。まず妖怪退治ってなんだ。なんで。私?私は普通の女子高生。そりゃちょっと【不思議な存在】が見えたりするけど、でも退治とか人外な事できないっつーの。

目と口も大きく開けポカンとしている私の様子に禮來さんが首を傾げる。


『なんじゃ。そんなに強力な【能力】を持っておるのに使った事が無いのかぇ?それにその強力な【印】はなんじゃ。その【能力】はそう云うもんじゃろうて。お前に【印】を与えた者もそう云う使い方を想定しておったのではないのか?』

「私は、普通の一般人です!それに、あのヒトはが私にこの【能力】を与えた意図なんて解りませんっ。あのヒトは、あのヒトは唯・・・遊んでた、だけです」


私の、命を使って、遊んでただけ。無意識の内に右手がお腹を押さえそうになったけど、それを抑え込み軽く頭を振った。


「それに、私は今までこの【能力】を何かに使うだなんて考えた事なかったんです」

「ですが、我が家の家事は基本的に妻一人で切り盛りできますし、正直今人手が足りないのは私の方だけです。それにそんなに難しい仕事を回したりしませんよ。見えたり触れたりする方なら、予備知識さえあればこなせる物ばかりですよ」


家事の関係ではやってもらう事が無いって事は、つまりこの話が受けられないんなら雇えないって事だろう。私はグッと言葉に詰まり、柔和な笑顔の中に此方を探るように見る鋭い目に動揺し、下を向いた。・・・交渉事で、相手に自分が不利だと思わせる事はタブーだ。それは例えば今みたいに表情を崩す事だったり、視線を逸らす事だったり、瞬きだったり――そんなちょっとした事が交渉事、それも自分にとっては絶対に外せない事なら殊更慎重になるべきなのに――やってしまった。やっぱり、私ってどうしようもなく小娘なんだなぁと下唇を噛む。

生きたい、生きて帰りたい。生きて帰って恩返しを。別に良いじゃないか。多少普通じゃない事を、自分を誰も知らない世界でやったって。心配ない。大丈夫。もう、引きずり込まれたりなんか、しないさ。

ギュッと一回目を瞑りもう一度しっかり安重さんと禮來さんを見据える。


「引き受けさせてください」


それから一週間。日常生活に必要な最低限の事――着替えとか、読み書きとか(最初の時点で漢字が通じていたのだから当り前とも云えるけど、やっぱり日本に似ている)(と云うか何より文法が一緒だったからかなり楽だった)――と一緒に妖怪についての基礎知識と簡単な対処法を安重さんに教えて貰った。


そして今朝。

漸くこの家の人達と一緒に食事ができる時間(日の出とともに起床)に起きれる様になった私は、安重さんの言葉に思わず咽た。


「大丈夫ですか?弥音さん」

「ごほっげほ、ごほごほ・・・・・だ、い丈夫です・・・。あの、もう一度云って貰えますか」

「今日、退治の依頼が来ているので行って来て頂きたいんですよ」

「あの、今日、ですか」

「ええ。今日の昼過ぎから、です」


マジかよお師匠サマ。にこやかに笑う目の前の人に思わず脱力。シャクシャクと白菜の浅漬けを頬張りながら「で、それはどんな内容なんですか」と促す。


「まぁ貴族のお偉い方からなんですがね。この人は一人娘の事を溺愛しているんですが、此処の娘さんが最近体調を崩していらっしゃるそうなんです。医者に診て貰ってもなかなか治らないし酷くなっていく一方。これは呪われているのではないかと云う事でいろんな霊媒師やら陰陽師やらを呼んでいるそうなんです」

「で、安重さんも呼ばれた、と」

「いいえ。呼ばれたのは昔馴染みの知り合いです。これはその人からの依頼で、どれだけ祈祷してもどうにもならないから助けて欲しい、と。祈祷師と云うのは宮廷や貴族お抱えでもなければ個人のお仕事ですからね。評判の善し悪しが生活に直結していますから、できなかったでは済まされません。このお仕事の注意事項ですが、基本的には弥音さんの好きにして頂いて結構です。唯、その祈祷師の方の名前を出す事と、相手は一応貴族ですから失礼のない様に振舞う事が条件です」

「はぁ。で、それって私でも大丈夫なんですか?」

「解りません」


・・・・・思わず、ずっこけるかと思った。実際は手に持ったお味噌汁が一瞬波立っただけだったけれど。思わずジト目で睨むとふふと、ナイスミドルスマイルを此方に向けられた。畜生。やっぱり美形って得だ。と溜息を吐く。


「一応私の肩書である【退魔師】として行って貰う事になります。・・・対処法が見つからなかった場合は、祈祷師の紹介ですし、適当に祈祷の真似でもして場を繋いでください。祈祷は、場合によっては何日か通ったりするものですからね。パッと見てできそうになければ誤魔化して私に報告して下されば構いません。・・・これはこの一週間の教えの査定でもありますから、頑張ってくださいね」


うん、まぁ一言で云うなら、案外簡単だった。庭にあった柊の枝を幾つか失敬してばっさばっさと子鬼を追いかけまわすイタイイタイと逃げる子鬼達が退散して行く場所を探すと、娘さんの日用品入れの中だった。鬼達が出ない様に慎重に中の物を抜き取り庭に出る。鬼だけになった箱の中に普通の米と豆2,3粒ずつ投げ入れ蓋を閉め振る。そりゃあもう棒ポテトの様に。すると中からギャアアアと悲鳴が聞こえ、タスケテタスケテ!と聞こえた所でピタリと振るのを止める。中からはまだイタイ!と引き攣った声がしている。


「これ以上痛い目に会いたくなければもうこの娘さんを襲わないと云え。そうでなければもっとするぞ」


ヒイ!と悲鳴じみた声が聞こえ「モウシナイ!モウデテイク!」と叫ばれる。

「ココハ【気】ガタマッテタカラ、アソンデテタノシカッタケド、イタイノハイヤダ!」

キーと一声叫んだの聞き終え蓋を開け箱を逆さまにする。子鬼達はバラバラと落下し慌てふためきながら去って行った。生憎とそういう溜まった【気】を具体的にどうすれば良いのか解らないので何とも云えないが取り敢えず第一関門終了、だ。呆然とこっちを見ていた見物人ににこやかにそりゃもういっそ爽やかに云ってやった。この中に悪い物の怪が入っていたので退治させて頂きました。また明日来ますので。そしてもう一度御簾の中へ入りこの件の被害者である女性に話しかける。


「お嬢さん、この中に貴方を悩ます物の怪が入っておりました。ですが今もう居ません。どうしますか取り敢えず櫛などはこの中にお入れしてもかまいませんか」

「え、えぇ・・・。構いませんわ」


丁寧に中身を戻してから中に一応魔除けの米と柊の枝を一枝入れる。・・・この箱がこの方角にあったから子鬼は住処にしたんだろうけれど、念ため、だ。柊はともかくお米は他の奴らにも効くし。それから娘さんに断ってから箱があった近くの柱に今さっき書いた紙を張った。気が溜まらない様に逃がす呪文。多分これで良いはず。多分。応急処置くらいにはなっている。はず。・・・安重さんに確認して対策を聞いて、明日また来る事にしよう。


「今はあまり道具が無くて・・・取り敢えずで恐縮ですが、応急処置は済みましたので。明日、また参ります」


にっこり微笑むと相手は忽ち顔を真っ赤にした。そのあまりにも初心な反応に一瞬疑問を持ったけれどすぐさま打ち消す。

平安時代の身分の良い女性は異性との接触が禁じ方が極端だ。それに彼女の父の性格を考えると本気で親族の男以外見た事が無いんじゃなかろうか。自分の様に祈祷師や霊媒師などが御簾の中に入ったりしただろうが、貴族の徐霊で来た人は基本的に年食ってる実力者っぽい人たちばっかり来てるみたいだし(此処に来てすぐ通された待合室みたいなところで会った祈祷師さんたちは40代ぐらいのおじさんばっかりだった)。同世代の異性(と聞かされている人間)と会うのは初めてだろう。


え?何か可笑しいって?気のせいじゃないだろうか。

私は稀木弥音。『大方』普通の女子高生だ。


「それでは失礼」と禮來さんに習った正式な礼をして場所の元を去る。彼女の父にも同様に。擦れ違いざま、お手伝いらしき女性がキャアと声を上げた。


「ほら、あの殿方よ!噂通りとっても凛々しくて可愛らしい方ね!」


私は稀木弥音。『大方』普通の女子高生だ。

ただ今『男装』して、退魔師見習いをやってます。


誰か私に普通を返してえ!




やっと男装ネタ入れれました!キーワード嘘になったらどうしようかと←

男装の理由は次から。

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